早筆右三郎

早筆右三郎（はやふでうさぶろう）

『早筆右三郎』は、1978年4月5日から12月6日までNHK総合テレビで放送された時代劇である。本作は一話完結形式を採用しており、明治時代の若者が、瓦版記者だった戯作者・一返舎二八に話を聞くという構造で進行する。若者は、天保時代に生きた記者・右三郎（江守徹）による江戸の様々な事件の体験を語ることを通じて、当時の文化や社会状況を理解していく。

内容概要

物語の舞台は明治初期。この時代、新聞記者を志す青年が主人公である。青年は、かつて早筆と呼ばれた記者・右三郎を訪ね、彼の話を聞く。右三郎はかつて朱塗屋伝兵衛の元で働き、多くの江戸の事件を経験してきた。物語は、彼が周りの人々と力を合わせて事件を解決していく様子を描いている。それぞれのエピソードは独立しているため、視聴者は各話を単体で楽しむことができる。

制作陣と音楽

本作は、小山内美江子の原作によるもので、彼女自身も脚本を担当している。さらに、柴英三郎や土橋成男などが共同で脚本を手掛け、さまざまな角度から物語が展開される。制作には篠原篤彦と渡辺耕が関与し、映像の演出には北島隆や福原恒男、村山昭紀、田中賢二などが参加している。また、音楽は深町純が担当し、印象的なメロディが物語に彩を添えている。タイトルバックには横尾忠則が関わり、視覚的な印象も強調されている。

放映状況と映像の現存

『早筆右三郎』は、前番組である『鳴門秘帖』から水曜日に放送日が変わり、新たな視聴者を迎え入れた。しかし、当時のビデオテープは高価であったため、多くの回が上書きされてしまい、映像の現存状況は厳しい。NHKには一部のエピソードのビデオが保存されているものの、ほとんどの回は既に消失している。そのため、NHKでは視聴者や制作関係者に向けて、過去の放送番組のテープ提供を呼びかけており、貴重な記録を集め続けている。

このように『早筆右三郎』は、江戸の風俗や人々の生活を描いた貴重な時代劇作品である。時代背景や登場人物の個性豊かな描写が視聴者を引き込み、ストーリーに深みを与えている。テレビドラマとしての新たな挑戦をした本作は、視聴者に向けて江戸の魅力を再認識させる力を持っていた。

もう一度検索