旭堂南鱗

旭堂 南鱗（きょくどう なんりん）

旭堂南鱗は、日本の上方講談界において重要な位置を占める名跡です。この名跡の起源は幕末にさかのぼり、初代は旭堂南麟として知られ、旭堂派を開いた人物です。彼の子孫は何代にもわたってこの名を受け継ぎ、初代の名跡には様々な伝説や逸話が語られています。

初代旭堂南麟について

初代旭堂南麟の本名は朝比奈安兵衛で、1804年に生まれました。彼は元は旗本という身分を持っており、後に講釈師としての道を選びました。彼は2代目田辺南鶴の門下に学び、旭堂派の創始者となりました。630歳を迎える直前、1878年に彼は亡くなりましたが、その伝説は今もなお語り継がれています。

特に有名なエピソードの一つとして、彼の息子が生涯を閉じた出来事があります。その息子、旭堂明麟は講釈師として活動していましたが、慶応二年に不義の問題で命を落としました。この知らせが講演中に届いた際、南麟は驚くことなく演目を続け、その後に悲しい知らせを打ち明けたため、聴衆は一層驚かされたといいます。後に彼は「大南麟」と名乗るようになりました。

旭堂南鱗について

現代の旭堂南鱗は、1950年8月1日に大阪市阿倍野区で生まれた講談師で、本名は今西久幸です。彼はサラリーマンとして働きつつ、3代目旭堂南陵の講談教室に通い、1976年に入門して「南幸」と名乗りました。その後、まもなくして名前を「南光」に変更し、1988年に真打に昇進して旭堂南鱗の名を襲名しました。

彼はなみはや講談協会の会長としても活動し、文化の振興に多大な貢献をしています。2023年には後進に会長職を譲り、名誉会長となりました。さらに、2022年には篤志面接委員としての業績が評価され、藍綬褒章を受賞しました。

弟子と活動

旭堂南鱗のもとで、多くの弟子が育てられています。弟子には旭堂鱗林や水谷ミミ（旭堂風鱗）、旭堂花鱗など、幅広い才能を持つ講談師たちが名を連ねています。

また、彼は「上方講談シリーズ」では『旭堂南鱗』として、2019年に「お坊主稲川」と「善悪二筋道」を収録した作品を発表しています。これにより、彼の技術や教育方針は次世代に受け継がれ、多くのファンや講談愛好者に支持されています。

最後に

旭堂南鱗は、上方講談の伝統を守りながら新たな熱意をもって演技を行い続けている、近代における重要な講談師の一人です。彼の存在は、上方講談の文化の支えとなっており、今後もその活動に目が離せません。

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