明川郡

明川郡（ミョンチョンぐん）

明川郡は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の咸鏡北道南部に位置する郡です。豊かな自然と歴史的背景を持ち合わせています。

地理

明川郡は、東経129度04分から129度34分、北緯40度43分から41度01分に位置しています。郡の東側は日本海に面しており、海岸線の長さは約45kmに及びます。

地形的には、郡の大部分が山地で占められており、特に中央部から東部にかけては七宝山と呼ばれる火山性の山地が広がっています。この七宝山は景勝地として知られ、上鷹峰（1103m）や下鷹峰（1047m）などの山々が連なっています。郡の西部には吉州明川地溝帯が南北に走り、鉄道や主要道路、そして明川邑の市街地がこの地溝帯に位置しています。

郡内には花台川をはじめとする河川が流れており、花台川には板嶺貯水池が設けられ、灌漑用水として利用されています。

気候

気候は、咸鏡北道内の他の地域と比較して比較的温暖ですが、冬季には雪が多く降ります。年平均気温は7〜8度程度で、1月の平均気温は-7.6度程度、8月の平均気温は21.5度程度です。年平均降水量は700mm程度です。

歴史

現在の明川郡は、1952年に北朝鮮によって再編された行政区画です。歴史的な明川郡は、現在の明川郡、明澗郡、花台郡を合わせた範囲を管轄していました。

古代には沃沮や高句麗、渤海などの勢力下に置かれていました。渤海滅亡後は女真族の勢力圏となりましたが、1107年に高麗の尹瓘が北方遠征を行い、高麗の支配下に置いて明原駅と呼んだとされています。その後、元の支配下を経て、高麗の恭愍王がこの地域を奪取し、吉州万戸府に属させました。

朝鮮王朝時代には、吉州牧に属していましたが、李施愛の乱後、明川県が新設されました。その後、明川府に昇格し、1895年の地方行政区画の改編により明川郡となりました。

1952年の郡面里統廃合により、旧明川郡の一部が再編成され、現在の明川郡が成立しました。

産業

明川郡の主な産業は鉱業です。特に古站炭鉱では質の良い無煙炭が採掘されています。また、小規模な地方工業も発達しており、窓戸紙や陶磁器が知られています。

農業も行われており、トウモロコシ、マメ、コメなどが栽培されています。特にマメは「吉州明川豆」として品質が良いことで知られています。また、タバコやタマネギも特産品です。

海岸部では水産業も行われており、ホッケ、タラ、タコなどの漁獲や、ワカメ養殖が行われています。

文化・観光

明川郡には、七宝山という景勝地があります。七宝山は火山活動によって生成された山で、「咸鏡北道の金剛山」と称されるほどの美しい景観を誇ります。山地は内七宝、外七宝、海七宝に区分され、それぞれ異なる魅力を持っています。

内七宝には、奇岩や緑豊かな樹林、開心寺などの見どころがあります。外七宝には黄津温泉があり、海七宝には海岸の岩や島々が織りなす景観を楽しむことができます。

また、郡内には天然記念物として指定されているものもあり、温泉も多く、観光資源に恵まれています。

交通

郡内には平羅線という鉄道が通っており、明川駅があります。また、明川駅からは古站炭鉱線という支線が出ています。

道路も整備されており、元山と牛岩を結ぶ幹線道路が通っています。

行政区画

2002年現在、明川郡は1邑2労働者区13里から構成されています。

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