明救

明救（みょうぐ）

明救は、平安時代中期に活躍した天台宗の僧侶です。天慶9年（946年）に生まれ、寛仁4年7月5日（1020年7月27日）に75歳でこの世を去りました。父は醍醐天皇の皇子である有明親王で、兄弟には大蔵卿を務めた源泰清がいます。

幼少の頃より比叡山に上り、天台座主である延昌僧正に師事し、天台宗の教えである顕教と密教を深く学びました。その後、浄土寺（現在の京都慈照寺、通称銀閣寺の近くにあった寺院）に住んだことから、浄土寺の座主とも称されるようになりました。

長徳4年（998年）頃から、明救は各方面からの要請を受け、頻繁に修善や祈祷を行うようになりました。特に、藤原道長との関係が深く、長徳4年（998年）に道長の病気平癒の修善を行ったのを皮切りに、長保4年（1002年）には道長の妻である源倫子の仁和寺大般若経供養、寛弘5年（1008年）には中宮藤原彰子の出産に関する祈祷、長和2年（1013年）には道長の法性寺五壇修法に奉仕するなど、道長一族のために多くの祈祷を行っています。また、宮中からの信頼も厚く、天皇や皇族の病気平癒などの祈祷にも度々招かれました。

長和2年（1013年）には、三条天皇の眼病平癒を祈願し、その功績により権僧正に任じられました。その後、寛仁3年（1019年）には僧正に昇進し、同年には天台座主という天台宗の最高位にも就いています。明救が生涯にわたって行った修法は多岐にわたり、五壇法を始めとして、安鎮法、不動法、七仏薬師法など、様々な修法に通じていました。また、良源から眼病平癒の秘法を伝授されたという言い伝えもあり、験者としての名声も高かったようです。

明救の弟子には、如源や尋空などがいます。

明救は、平安時代中期において、天台宗の高僧として、また験者として、その名を広く知られていました。特に藤原道長一族との関係が深く、その隆盛を陰で支えた人物の一人と言えるでしょう。また、宮中からの信頼も厚く、天皇や皇族の病気平癒を祈願するなど、社会的な貢献も大きかった人物です。

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