明月院

明月院

明月院は、神奈川県鎌倉市山ノ内にある臨済宗建長寺派の寺院で、正式には福源山明月院と称します。その美しさから「あじさい寺」とも呼ばれ、特に紫陽花の季節には多くの観光客で賑わいます。平安時代後期に山内俊通の供養のため創建された明月庵が起源とされ、その後、関東管領の上杉憲方が開基となり、密室守厳を開山として寺院として整備されました。本尊は聖観音で、境内には北条時頼の墓所と伝えられる場所もあります。

歴史

明月院は、山内上杉家の祖である上杉憲方が開基となり、密室守厳を開山として創建されました。寺伝によると、平治の乱で亡くなった山内首藤俊通の菩提を弔うため、その子である経俊が明月庵を建立したのが始まりとされています。しかし、実際の開基は憲方であるという説が有力です。明月院は、かつて禅興寺という寺の塔頭でしたが、禅興寺は明治初期に廃絶し、現在では明月院のみが残っています。

禅興寺の起源は鎌倉幕府5代執権である北条時頼に遡ります。時頼は自身の別邸に持仏堂を建て、最明寺と名付けましたが、時頼の死後に廃絶。その後、時頼の息子である北条時宗が蘭渓道隆を開山として再興し、禅興寺と改名されました。現在の明月院は、紫陽花の名所として知られていますが、紫陽花が植えられたのは比較的最近のことで、第二次世界大戦後、参道の整備が困難だったことから、手入れが楽な紫陽花が植えられたことがきっかけで、次第に有名になりました。

境内

明月院の境内には、数千本もの淡い青色の紫陽花が咲き誇り、「明月院ブルー」と呼ばれています。また、紫陽花以外にも四季折々の花が植えられ、一年を通して美しい景色を楽しむことができます。境内には、総門、茶々橋、北条時頼廟、伝・北条時頼墓所、茶室の月笑軒、桂橋、山門などがあります。また、枯山水庭園や開山堂、そして鎌倉最大級のやぐらも見どころです。特に本堂（紫陽殿）にある円窓「悟りの窓」から見える景色は、四季折々の美しさを切り取った絵画のようで、鎌倉を代表する絶景として知られています。その他、鎌倉十井の一つである「瓶の井」や、通常は非公開だが、花菖蒲の開花時期と紅葉期に公開される本堂後庭園などがあります。明月院境内全体が国の史跡に指定されています。

文化財

明月院には、数多くの文化財が所蔵されています。重要文化財としては、木造上杉重房坐像（鎌倉時代作）、紙本著色玉隠和尚像（室町時代作）、紙本淡彩明月院絵図（南北朝時代作）などがあります。また、神奈川県指定文化財としては、塑造北条時頼坐像（鎌倉時代作）があります。その他、鎌倉市指定文化財として、絹本著色中峰和尚像、紙本著色指月和尚像、木造聖観音菩薩坐像、木造漆塗明月膳・椀5具、明月院文書（一八通）などが指定されています。

交通

明月院へは、JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩10分、または鎌倉駅から江ノ島電鉄バスで「明月院」下車徒歩5分です。

明月院は、歴史と自然が織りなす美しい空間で、訪れる人々に癒しと感動を与えてくれます。特に紫陽花の季節は、その美しさを一目見ようと多くの観光客が訪れます。しかし、それ以外の季節でも、四季折々の花や庭園の美しさを楽しむことができ、何度訪れても新しい発見があるでしょう。

もう一度検索