明治村 (鳥取県気高郡)

明治村の歴史と特徴

明治村（めいじそん）は、かつて鳥取県気高郡に存在した自治体です。1896年3月31日までは高草郡に所属していました。具体的には、現在の鳥取市上段・尾崎・上原・細見・松上・槙原・河内などの地域に当たります。村の中心を流れる千代川の支流である野坂川の中・上流域に位置していました。明治小学校区は上段の全域及び尾崎・上原の一部を含む形で形成され、残りは世紀小学校区へ編入される形となっています。

村が存在していた時代には、高草郡松神西郷に属する松上村・河内村・槇原村・細見村・上原村・尾崎村といった村があり、さらに有富東郷に属する上段村もありました。明治村の地域においては、藩政時代から製紙業が盛んで、池田藩の御用紙としても使用されていました。製紙の原料となるミツマタを地元で自給できたため、この地方の産業は有望なものとされていました。

とはいえ、明治村は自然災害にも見舞われました。1893年、1912年、1918年の洪水ではその都度甚大な被害を受け、特に1912年の洪水では9人の命が奪われ、53戸が流失しました。また、山崩れが4000箇所発生するなど、地域社会は大きな打撃を受けました。これを受けて、1933年から1945年にかけて堤防の改修や河川の拡張工事が行われ、村民の安全を確保するための取り組みが実施されました。

さらに、火災も明治村を苦しめました。1893年4月には河内で火災が発生し、40戸が全焼。その後も1951年には同地で再び火災が発生し、27戸が全焼しました。

沿革

明治村の沿革を辿ると、1883年には上原村に連合戸長役場が設置され、その管轄区域となりました。1889年には町村制が施行され、松上村・槇原村・河内村が合併し初代の明治村が発足しました。その後、1896年4月に高草郡と気多郡の区域で気高郡が設立され、明治村もその一部となります。1914年には穏治村と再度合併し、村名が改められました。

行政と教育

明治村の歴代村長には、藤岡豊蔵や加藤新太郎、稲村久蔵などが名を連ねており、それぞれの村長が村の発展に寄与してきました。教育の面では、明治小学校及びその後の明治中学校が設立され、多くの生徒が学ぶ場として機能しました。これらの学校は後に鳥取市立に属することになります。

交通

村内に通じる里道は明治30年代に改修され、県道として位置付けられることとなります。しかし、交通の整備は長らく手が途絶え、新たな改修計画が実施されるまでに時間がかかりました。昭和初期に着工された県道は、1956年にはようやく開通を迎えました。

まとめ

明治村は歴史、自然、産業、災害、教育といった側面から多様な顔を持つ地域でした。最終的には1953年に鳥取市に編入され、明治村の名前は消滅しましたが、その歴史は今もなお地域に根付いています。

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