明行寺 (長野市)

明行寺（みょうぎょうじ）

長野県長野市権堂町に位置する明行寺は、真宗大谷派の寺院であり、観勝山という山号を冠しています。この寺院は、善光寺七寺に数えられることもあり、地域の人々にとって重要な存在です。

歴史

開基から近世以前

明行寺は、1573年（天正元年）6月に釋秀應によって開基されました。寺伝によると、創建当初から善光寺に近接する便利な場所に位置していたため、様々な宗派が集まる学問道場として栄えたとされています。1760年（宝暦10年）の権堂町の村明細帳には、すでに浄土真宗の寺院として記録されています。当初の場所は現在地よりも北西に約80メートル離れており、表権堂通りから少し入ったところにありました。表権堂通りに面して太鼓橋と門が設けられ、境内は現在の約3倍もの広さがあったと伝えられています。この名残として、小藤小路や明行寺の森といった地名が今も残っています。

1646年（正保3年）2月には、釋惠林によって寺内に教圓寺が開基されました。しかし、1751年（宝暦元年）2月19日には、西之門町桜小路角から出火した大火により、明行寺も類焼しました。この火災は西南風にあおられ、善光寺町一帯で1478戸を焼失する大惨事となりました。その後、本堂は再建されました。

文政年間（1818年 - 1829年）には、明行寺は現在地に移転しました。この移転に伴い、明行寺大門通りが形成されたと考えられています。旧地は、水茶屋の花房屋新之助と藤屋祐三郎に買い取られました。また、天保年間（1831年 - 1845年）には、水茶屋の藤木屋が門前の借地で商いを始めました（後に移転）。

1848年（弘化4年）3月24日には、善光寺地震が発生し、明行寺は倒壊を免れたものの、翌25日昼頃に全焼しました。その後、本堂は嘉永年間（1848年～1855年）に再建されたとされています。1852年（嘉永5年）4月13日には、西後町から出火した火災が東後町、権堂町へと延焼し、明行寺も再び類焼しました。この火災では、100戸以上が焼失しました。

なお、『長野市制80年史』には、明治初年に火災があったと記録されていますが、具体的な年次は不明です。

近代以降

明治初期には、表権堂通りに面して太鼓橋と門があり、そこから明行寺大門通りが伸びていました。しかし、市街地整備のため、これらは市に寄進されました。また、地租改正時の地図には、「明行寺持ち」と記された田が2枚ありましたが、後に売却されています。戦前まで、恵信尼の講が盛んで、300人を超える講員がいたとされています。

1870年（明治3年）3月22日には、東本願寺の北海道開拓の一行が長野を通過する際、17代住職の釋秀導が先導役を務めました。1886年（明治19年）に本堂が起工され、1889年（明治22年）11月11日に落慶しました。釋秀導の没後、しばらく住職不在の期間がありましたが、坊守の縁故先の専勝寺によって法務などが支援されました。1902年（明治35年）には、18代住職として圭夫（たまお）が入寺し、寺勢は再び盛り返しました。

1923年（大正12年）9月1日の関東大震災時には、無料宿泊所として指定され、6日の夜から7日の朝までに14名が宿泊しました。

境内

本堂：1889年（明治22年）に再建されました。長野市の宮大工、山嵜儀作による彫刻が施されています。
山門：1926年（大正14年）に再建されました。
五重の石塔：1924年（大正12年）に建立されました。寄進者はすべて権堂町を中心とした芸妓置屋、料亭、小料理屋です。
碓井良貞墓：1859年（安政6年）に建立されました。観世流謡曲師、碓井良貞の墓です。

脚注

参考文献

長野市役所 編『長野市史』長野市役所、1925年6月。
権堂町史編集委員会 編『長野市権堂町史』権堂町公民館、1993年4月。
田町誌編さん委員会 編『長野市田町誌』長野市田町区、2009年6月。
信濃史誌刊行会『長野市制80年史』1978年。

関連項目

権堂町 ([[長野市)]]
善光寺七名所

外部リンク

* 真宗大谷派 観勝山 明行寺(公式ページ)

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