星空のアリア

星空のアリア（ほしぞらのアリア）

「星空のアリア」は、日本のコーラスグループ、ザ・キング・トーンズが1968年12月1日にリリースした通算2枚目のシングル盤です。この作品は日本グラモフォンより発表されました。

リリース背景と運命

本作は、前作にあたるシングル『グッド・ナイト・ベイビー』の発売から数ヶ月が経過しても、当初は大きな反響が得られなかったため、グループの次なる一手として企画されました。しかしながら、「星空のアリア」のリリースと同時期に、『グッド・ナイト・ベイビー』が宮城県仙台市で火がつき、その人気が全国へと広がる兆候を見せ始めます。レコード会社は、この予期せぬ前作のブレイクを最大限に活かすため、プロモーション資源を『グッド・ナイト・ベイビー』へ集中させる戦略をとりました。その結果、「星空のアリア」は発売されて間もなく廃盤という運命をたどり、市場への流通量は極めて少ない、現在ではコレクターズアイテムともなりうる希少な楽曲となっています。

音楽的特徴

ザ・キング・トーンズのシングル作品は、それぞれ異なる音楽的アプローチが試みられています。

前作『グッド・ナイト・ベイビー』は、当時のプロモーションにおいて「R&B演歌」というキャッチフレーズが用いられ、和の情緒とソウルフルな歌唱を融合させたスタイルとして紹介されました。
一方、「星空のアリア」では、イントロ部分に荘厳な響きを持つチューブラーベルが効果的に使用されており、楽曲全体にクラシカルな雰囲気を添えています。さらに、サビの部分で演奏されるオルガンの旋律は、ヨハン・セバスチャン・バッハの有名な楽曲『G線上のアリア』との類似性が指摘されています。

このような楽曲構成は、前年（1967年）にイギリスのロックバンド、プロコル・ハルムが発表し、世界的な大ヒットとなった「青い影（A Whiter Shade of Pale）」に見られる、クラシック音楽、特にバッハの旋律をポピュラー音楽に取り入れる手法を、当時の日本の歌謡曲に取り込んだ意欲的な試みとして位置づけることができます。この点において、「星空のアリア」は、単なる流行を追うだけでなく、音楽的な実験性を持ち合わせた作品と言えるでしょう。

収録曲

このシングルには以下の2曲が収録されています。

1. 星空のアリア
作詞：大日向俊子
作曲・編曲：早川博二
シングルA面曲。
2. 私の恋人
作詞・作曲：加生スミオ
編曲：早川博二
シングルB面曲。

参照

楽曲情報については、音楽出版ジュンアンドケイの楽曲管理データなどが参照されています。

「星空のアリア」は、ザ・キング・トーンズというグループの歴史において、前作の大ヒットの陰に隠れながらも、その後の活動や日本の歌謡曲史における音楽的実験の一例として記憶されるべき楽曲と言えます。その早期廃盤という経緯も相まって、現在では中古市場でも滅多に見かけない幻のシングルとして、多くの音楽ファンやコレクターに探し求められています。

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