星野茂則

星野茂則（ほしの しげのり）

江戸時代前期に活躍した尾張藩士で弓術家、星野茂則は一般には「星野勘左衛門」として知られています。彼は特に三十三間堂での通し矢において、二度も天下一の記録を樹立したことで名が残っています。

生涯

星野茂則は寛永19年（1642年）、尾張藩士である星野則等の第三子として、現在の愛知県西尾市吉良町で誕生しました。この地には、彼の生誕地や旧里を示す碑があります。星野氏は熱田大宮司家に由来し、茂則の祖父である則勝は平岩親吉の家臣でした。その後、親吉が亡くなると竹腰正信の家臣となっています。茂則の父、則等も当然ながら徳川義直に仕官し、複数の役職を歴任しました。

茂則は尾張藩士として、日置流尾州竹林派に属する長屋忠重に弓術の訓練を受けました。彼の才能が開花したのは、徳川光友の時代に弓役に任じられた頃です。

通し矢の記録

寛文2年（1662年）5月28日、茂則は京都の三十三間堂にて大矢数に挑戦しました。この挑戦で、総矢数10,025本のうち、なんと6,666本の通し矢を達成し、紀州藩の吉見台右衛門の記録を破って天下一の称号を得ました。この偉業によって、彼は藩から弓頭に任じられ、知行高500石を受け取ることになりました。

ところが、寛文8年には紀州藩の葛西園右衛門が再び新たな通し矢の記録を更新します。彼の挑戦を受けて、茂則は寛文9年（1669年）5月2日に再度大矢数に挑戦しました。この時、彼は総矢数10,542本のうち8,000本の通し矢を成功させ、再度天下一の称号を手にします。これにより茂則は300石の加増を受けることになりました。

死去と子孫

星野茂則は元禄9年（1696年）5月6日に亡くなりました。享年は55歳で、彼の子孫は尾張藩士として弓術の伝統を受け継いでいきました。しかし、10代目の勘左衛門久則には子どもが残らず、最終的には富田常正が11代を継承しました。残念ながら、星野家の文献の多くは近年の火災によって失われてしまったとされています。また、彼の墓所は名古屋市の平和公園内に位置しています。

逸話

茂則にまつわる逸話の一つとして、ある中で彼が力士との相撲を挑まれた時の出来事があります。家老が相撲を好み、力士が出入りする中、茂則は再三辞退したにもかかわらず、無理に相撲を取るよう言われ仕方なく受け入れました。彼は袴の裾を上げて出て行き、その冗談めいた雰囲気に皆が驚愕しました。しかし、取り組みが始まると、茂則は強力な力士をあっさりと倒し、その場にいた者たちを驚かせました。彼は「士が勝負を争う時はこういうものである」と言い残し、退席しました。このエピソードは当時の士と力士の違いを如実に示しており、資座にいた人々が後に理解するきっかけとなったとされています。

関連項目

• - 弓術
• - 弓道
• - 日置流
• - 本多流 (星野茂則の流れを汲む流派)

これらの情報からも、星野茂則が単なる弓術家ではなく、時代を代表する武士としての存在を持っていたことが伺えます。彼の影響は分野を超えて、現在にまで受け継がれています。

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