映画芸術協会

映画芸術協会について

映画芸術協会は、1920年から1924年にかけて存在した日本の映画製作会社です。この会社は、「純粋劇映画運動」の創始者である帰山教正によって設立されました。帰山は、従来の演劇的な映画とは異なる、より芸術性の高い映画を目指し、様々な革新的な試みを行いました。

設立の背景

帰山教正は、映画雑誌『活動写真界』の寄稿者であり、1917年には映画理論書『活動写真劇の創作と撮影法』を出版するなど、映画理論にも精通していました。その後、天然色活動写真（天活）に入社し、海外輸出を視野に入れた映画製作を目指しました。1919年に『日本芸妓の踊り』を監督した後、26歳で独立し、天活と提携する形で映画芸術協会を設立しました。

革新的な試み

帰山は、実験作『深山の乙女』と『生の輝き』で、弁士を必要としない字幕を導入しました。また、『深山の乙女』では、日本映画史上初めて「女優」である花柳はるみを起用しました。これらの作品は、日本映画の歴史において重要な転換点となりました。さらに、字幕担当者の名前をクレジットに記載するなど、当時としては非常に画期的な試みを行いました。

映画芸術協会の作品

映画芸術協会は、1920年の『白菊物語』を皮切りに、1924年までに17本の映画を製作しました。帰山自身が監督した作品が中心ですが、近藤伊与吉や青山杉作などの監督作品も含まれます。しかし、興行的には成功せず、1924年に活動を停止しました。

主な作品

深山の乙女 (1919年): 日本映画初の女優、花柳はるみが出演した作品。
生の輝き (1919年): 帰山教正が出演した実験的な作品。
白菊物語 (1920年): 映画芸術協会として初めて製作された作品。
自然は裁く (1924年): 映画芸術協会が最後に製作した作品。

映画芸術協会の終焉

映画芸術協会は、1924年12月26日に公開された『自然は裁く』を最後に活動を停止しました。短期間の活動でしたが、日本映画史に大きな影響を与え、その革新的な試みは、後世の映画製作に大きな影響を与えました。また、東宝争議後に設立された「映画芸術協会」とは異なる組織である。

関連事項

天然色活動写真
国際活映
帝国キネマ演芸
松竹キネマ

フィルモグラフィ

天活配給
深山の乙女 (1919年)
生の輝き (1919年)
熱球 (1920年)
国活配給
幻影の女 (1920年)
白菊物語 (1920年)
湖畔の小鳥 (1920年)
さらば青春 (1920年)
山頂の碑 (1920年)
いくら強情でも (1920年)
松竹キネマ配給
悲劇になる迄 (1921年)
濁流 (1921年)
皇国の輝 (1921年)
神代の冒険 (1921年)
帝国キネマ興行部配給
お信ちゃんの恋 (1923年、1921年製作)
別れ行く女（運命の船）(1924年)
愛の曲 (1924年)
* 自然は裁く (1924年)

映画芸術協会は、短命に終わった映画会社でしたが、帰山教正の革新的な試みは、日本映画史において重要な足跡を残しました。

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