春吉 (福岡市)

福岡市中央区春吉：下町情緒と現代都市が調和する街

春吉は、福岡市中央区に位置する、面積27.04ヘクタールの地域です。天神や中洲にも近く、古くからの街並みが残る一方で、近代的な開発も進み、独特の雰囲気を持つ下町として知られています。2023年2月末現在の人口は約4,700人、郵便番号は810-0003です。

春吉の地理：那珂川と主要道路が織りなす街並み

春吉は那珂川の左岸に位置し、北側を国道202号（国体道路）、南側を住吉通りが挟んでいます。地区の中央部を南北に貫く春吉中通り（県道553号）は、重要な交通路となっています。西側は渡辺通に隣接していますが、県道602号（渡辺通り）とは直接接続していません。

住宅地として多くの集合住宅が立ち並び、特に国体道路沿いの北側は飲食店も多い賑やかなエリアです。中洲や天神への近さも相まって、個性的な店舗が軒を連ね、漫画『クッキングパパ』にも登場するほど、地元に愛されるお店も多く存在します。また、多くのホテルや、那珂川沿いにラブホテルが立ち並ぶなど、多様な施設が混在しています。那珂川からは南新地やキャナルシティ博多の美しい夜景も眺めることができます。

一方、南側には春吉小学校や春吉幼稚園、柳橋連合市場など、地域住民の生活に密着した施設が多く存在します。春吉中学校は、地区から離れた南区清水町に位置しており、通学には路線バスを利用する必要があります。これは、都市化による用地確保の困難さから、郊外に移転したためです。近隣には高宮中学校や住吉中学校もありますが、春吉地区の中学生は原則として春吉中学校に通学します。

福岡大空襲では被災を免れたため、江戸時代に整備された東西の道路7本が現存しています。現在では、「渡辺通駅北土地区画整理事業」が進められており、渡辺通りとキャナルシティを結ぶ新たな道路が建設される予定です。また、隣接する博多区住吉などと共に、ゲイタウンとしても知られ、多くのゲイバーが営業しています。

春吉の歴史：古くからの集落から現代都市へ

春吉という地名は、住吉神社の秋季大祭で集まる人々によって穀物が踏まれるのを防ぐため、春の麦作に限定しようという提案に由来すると言われています。ただし、この説は『筑前国続風土記』の著者である貝原益軒自身も俗説だと述べています。

かつては那珂郡住吉村の一部でしたが、1602年（慶長7年）に独立した那珂郡春吉村となりました。当初は民家は少なく、博多の農民の田畑が広がっていました。1639～1640年（寛永16～17年）頃には、福岡藩主黒田忠之によって足軽の宅地として開発され始めました。1678年（延宝6年）には那珂川からの浸水を防ぐための土手が築かれ、防災対策も進められました。

1889年（明治22年）には住吉村と合併し、住吉村大字春吉となります。1922年（大正11年）には住吉町が福岡市に編入され、春吉も福岡市の一部となりました。1945年（昭和20年）の福岡大空襲では奇跡的に被災を免れ、戦後の1966年（昭和41年）の町名町界整理により、一部が渡辺通りや西中洲に分割され、現在の春吉1～3丁目となりました。

春吉の交通：地下鉄やバスによる高いアクセス性

春吉は、地下鉄七隈線（渡辺通駅、天神南駅）と空港線（天神駅、中洲川端駅）に近く、公共交通機関によるアクセスは非常に良好です。また、西日本鉄道株式会社が運行する西鉄バスも利用可能です。国道202号（国体道路）や福岡県道553号東光寺竹下春吉線などの主要道路も整備されています。

春吉の人口：変遷と現在の状況

春吉の人口は、近年変化を続けています。詳細な数値は福岡市の住民基本台帳を参照ください。

まとめ：魅力あふれる春吉

春吉は、歴史と現代が共存する独特の雰囲気を持つ地域です。アクセスが良く、多様な施設が充実している一方で、古き良き街並みが残る下町情緒も感じられます。今後も、発展を続けながら、その魅力を保ち続けることが期待されます。

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