春夏秋冬 (テレビ番組)

トーク番組『春夏秋冬』：日本のテレビ史に名を刻む長寿番組

『春夏秋冬』は、1956年から1982年まで日本テレビで放送されたトーク番組です。その歴史は長く、番組タイトルの変更や出演者の変遷、そして視聴者からの絶大な人気と惜しまれる番組終了まで、数々のドラマがありました。本稿では、この番組の軌跡を詳細にたどります。

誕生と初期の頃：『雨・風・曇』から『春夏秋冬』へ

番組は1956年6月、『雨・風・曇』というタイトルでスタートしました。日本テレビ放送網、そしてオリオン社の社長でもあった作家・画家の片柳忠男氏がプロデューサーを務め、その独特な視点と手腕によって番組は形作られていきました。初回放送時の出演者は、錚々たる顔ぶれでした。作家で俳優としても活躍した徳川夢声氏、元朝日新聞記者の渡辺紳一郎氏、慶應義塾大学教授の奥野信太郎氏、詩人のサトウハチロー氏、そして漫画家の近藤日出造氏らです。この豪華な顔ぶれと、時事問題を深く掘り下げる内容が人気を呼び、20局ネットという規模にまで拡大していきました。

同年、片柳氏は『雨・風・曇 - 宣伝という窓から見れば』を新聞研究社から出版。番組制作の裏側や、広告・宣伝に対する鋭い洞察が記されたこの書籍は、放送業界のみならず、広く世間の注目を集めました。

1959年6月には、歴史的な出来事であるプロ野球の天覧試合の中継終了直後、『雨・風・曇』が放送されました。天覧試合をテーマに語り合う様子は、当時の世相を反映する貴重な記録となっています。そして同年11月、番組は『春夏秋冬』と改題。このタイトル変更は、番組の内容や方向性の変化を象徴する出来事だったと言えるでしょう。当初は水曜夜の放送でしたが、のちに日曜日の朝の放送へと変更されるなど、放送時間にも変遷がありました。また、『24時間テレビ「愛は地球を救う」』放送日は、番組を休止していました。

映画への出演と出演者のその後

1963年には、井上和男監督の映画『「可否道」より なんじゃもんじゃ』に、『春夏秋冬』のレギュラー出演者である徳川夢声、渡辺紳一郎、奥野信太郎、サトウハチロー、近藤日出造の5人が「春夏秋冬の名士たち」として出演しました。これは、番組の知名度と出演者の高い人気を証明するエピソードと言えるでしょう。

しかし、時の流れとともに、出演者は次々と亡くなっていきました。放送開始から出演し続けた徳川夢声氏は1971年4月、健康上の理由で番組を引退。これが彼の最後のレギュラー番組となりました。その後、奥野信太郎氏（1968年）、サトウハチロー氏（1973年）、渡辺紳一郎氏（1978年）、近藤日出造氏（1979年）と、番組を支えたキーパーソンたちが他界。番組の時代は、確実に終わろうとしていました。

番組の終了と片柳忠男氏の死

1982年3月28日、『春夏秋冬』は放送を終了しました。長きにわたって愛された番組の幕切れは、多くの視聴者に惜しまれ、日本のテレビ史に大きな足跡を残しました。プロデューサーを務めた片柳忠男氏は、1985年に亡くなりました。彼の功績は、番組の成功のみならず、日本のテレビ文化全体に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

番組データ

放送時間：毎週水曜22:30 - 23:00、毎週水曜23:00 - 23:30、毎週水曜23:15 - 23:45、毎週水曜22:30 - 23:00、毎週日曜9:00 - 9:30、毎週日曜12:15 - 12:45（30分）、毎週日曜8:30 - 8:55（25分。残り5分は『レースガイド』）
放送期間：1956年6月23日 - 1982年3月28日
放送国：日本
制作局：日本テレビ放送網
プロデューサー：片柳忠男
提供：山口自転車（一社）→中外製薬（一社）→古河グループ（単独）→清水建設（一社）→複数社。『雨・風・曇』時代は、一貫して中外製薬一社提供。

主要出演者

徳川夢声、山本嘉次郎、サトウハチロー、近藤日出造、堀内敬三、渡辺紳一郎、辰野隆、奥野信太郎、藤浦洸、原田三夫、荒垣秀雄、扇谷正造、草柳大蔵、加藤芳郎、桂米朝、荻昌弘

参考文献

国立国会図書館所蔵:

『雨・風・曇 - 宣伝という窓から見れば』、片柳忠男、新聞研究社、1956年
『雨・風・曇』、片柳忠男、オリオン社、1961年
『なんでも喋ろう』、編著片柳忠男、オリオン社、1963年
『春夏秋冬』、著・出版日本テレビ放送網、1981年4月

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