春屋妙葩

春屋妙葩（しゅんおく みょうは）

春屋妙葩（1312年 - 1388年）は、室町時代に活躍した臨済宗の禅僧です。甲斐国（現在の山梨県）に生まれ、7歳で母方の叔父である夢窓疎石に師事しました。15歳で出家し、具足戒を受けた後、夢窓疎石を追って京都に移り、禅僧としての修行を重ねました。

夢窓疎石の弟子として

春屋は、夢窓疎石の晩年を支え、その没後には夢窓の行実を記した『年譜』や、法話・追憶談をまとめた『西山夜話』を編纂するなど、夢窓派の中心人物として活動しました。また、天龍寺が炎上した際には、義堂周信と共にその再興を成功させるなど、禅院の再興にも尽力しました。

室町幕府との関係

春屋は、室町幕府の足利義満から深く帰依され、康暦元年（1379年）には全国の禅林を統括する初代僧録に任じられました。義満が相国寺を創建すると、開山第一世を要請されましたが固辞し、師である夢窓疎石を開山始祖とし、自身は第二世住持となりました。後円融天皇から智覚普明国師号を授与されるなど、朝廷からも厚い信任を得ました。

五山文化への貢献

春屋は、五山版の刊行を推進し、『五家正宗贊』『宗鏡録』などの出版に尽力しました。また、歴代祖師らの語録や祖録、外典に及ぶ書物を出版するなど、五山文化の発展に大きく貢献しました。

外交への関与

春屋は、僧録として室町幕府の外交にも関与しました。貞治6年（1367年）には、高麗使が来日した際に、僧録の肩書で高麗への公式の返書を書いています。当時、室町幕府は東アジアの国家間外交に正式には参加できなかったため、僧侶の立場であった春屋が返書の作成を担ったと考えられています。

門弟の育成

春屋は、多くの弟子を育成し、彼らは幕府の東アジア外交に深く関わりました。特叟周佐、絶海中津、厳中周噩、元容周頌などが知られています。

春屋妙葩は、禅僧としてだけでなく、文化人、外交官としても活躍し、室町時代の社会に大きな足跡を残しました。

著述・編纂物

『年譜』（または『夢窓国師年譜』とも）
『西山夜話』
『雲門一曲』：丹後に滞在していた春屋およびその弟子たちと、日本を訪れた明使たちが交わした詩文や書簡を集めたもの。
『智覚普明国師語録』8巻

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