春日虎綱

春日虎綱（高坂昌信）

春日虎綱（かすがとらつな）は、戦国時代の武将で、高坂昌信（こうさかまさのぶ）の名で知られています。甲斐武田氏の家臣であり、武田四天王の一人として数えられています。

生涯

出自と香坂氏継承

春日虎綱は、大永7年（1527年）に甲斐国で生まれました。父の死後、遺産相続で敗れ、身寄りをなくしますが、武田信玄に召し抱えられ、近習として仕えました。当初は使番として働き、後に足軽大将となり、春日弾正忠を名乗ります。

天文22年（1553年）には、信濃の豪族・香坂氏が武田家に出仕。虎綱は、香坂氏の名跡を継承し、信濃の最前線である海津城の守将となりました。川中島の戦いでは、上杉謙信の侵攻に対し、海津城に籠城し、その後も北信濃の統治に携わりました。

勝頼期の活動と晩年

武田信玄の死後も、虎綱は勝頼に仕え、海津城代として上杉氏の抑えを任されます。長篠の戦いでは、嫡男が戦死しますが、虎綱は海津城の守備を任されていたため、参戦していません。勝頼期には、他の重臣が台頭し、虎綱のような老臣は疎まれたと言われています。

長篠の戦いで武田軍が敗北した後、虎綱は敗走する勝頼を迎え、衣服や武具を替えさせ、体面に配慮したとされています。また、後北条氏との同盟強化や、戦死した重臣の子弟を登用し家臣団を再編することなどを勝頼に進言したとされています。

天正6年（1578年）には、上杉謙信の死後、上杉家で起こった御館の乱において、武田信豊とともに上杉景勝との取次を務め、甲越同盟の締結に貢献しました。しかし、その後の記録は少なく、同年6月に海津城で死去したとされています。享年52。

虎綱の命日については諸説ありますが、高野山成慶院の記録では天正6年6月14日とされています。

春日氏のその後

春日氏は、次男の信達が継承しますが、武田氏滅亡後に森長可に討たれ、高坂氏嫡流は滅亡しました。しかし、近世には、虎綱の子孫を称する者が現れたと言われています。

人物

姓名と仮名

虎綱は一般に高坂昌信として知られていますが、「高坂」または「香坂」姓を用いたのは、弘治2年（1556年）から永禄9年（1566年）までの11年間です。これは、信濃国更級郡牧ノ島の香坂氏の家督を継承したことに由来します。香坂氏は、武田氏と上杉氏との境界に位置する重要な勢力でした。虎綱は、弾正を名乗り、「高坂弾正」と呼ばれることもありました。

『甲陽軍鑑』との関係

虎綱の活躍や、武田信玄・勝頼期の事績を記したとされる軍学書『甲陽軍鑑』は、虎綱の口述記録が元になっていると言われています。虎綱の死後、甥や家臣が執筆を継続し、完成したとされています。

関連作品

春日虎綱（高坂昌信）は、多くの映画やテレビドラマで描かれています。有名な作品としては、映画『影武者』や『天と地と』、NHK大河ドラマ『武田信玄』、『風林火山』などがあります。

まとめ

春日虎綱は、戦国時代の武将として、武田氏に忠誠を尽くし、その勢力拡大に大きく貢献しました。高坂昌信の名で広く知られ、武田四天王の一人として、その武勇と知略は後世に語り継がれています。

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