春日貞幸

春日貞幸（かすが さだゆき）は、生没年不詳の鎌倉時代の武将であり、御家人です。刑部三郎という通称で呼ばれていました。禰津氏の分流である春日小次郎貞親の子として生まれました。

源頼朝に仕え、文治元年（1185年）10月には勝長寿院の落慶供養、建久6年（1195年）3月には東大寺再建供養に随行しました。これらの記録から、初期の鎌倉幕府において、重要な役割を担っていたことが伺えます。

承久3年（1221年）の承久の乱では、信濃国から北条泰時のもとに駆けつけ、東海道軍に合流しました。6月14日の宇治川の戦いでは、泰時の命を受けて伏見津へ急行しました。宇治川を渡河する際、敵の矢が乗っていた馬に当たり、水中へ没してしまいましたが、従者によって救出されました。この戦いで、息子の春日小三郎と春日太郎が戦死するという悲劇に見舞われています。

泰時が強引に渡河しようとした際には、自身の馬を隠して引き留めることで、泰時を危険から救いました。その後、泰時は筏を使って渡河に成功し、朝廷軍を破りました。この時、春日貞幸の冷静な判断が、戦局を大きく左右したと言えるでしょう。

6月17日には、佐々木信綱と芝田兼義の先陣争いに関する証言を求められました。このことから、春日貞幸が、武将としての能力だけでなく、証言者としての信頼も厚かったことがうかがえます。これらの功績により、恩賞として上野国内に70町歩の土地を賜りましたが、後に信濃国小川荘内に替えられました。

春日貞幸は、鎌倉幕府を支えた武将の一人として、その名を歴史に刻んでいます。特に、承久の乱における活躍は、彼の武勇と忠誠心を物語るものです。

参考文献

「鎌倉・室町人名事典」 新人物往来社 1985年
「日本人名大辞典」 講談社 2001年
* 「長野県史通史編 第2巻 中世1」

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