春苅島

春苅島（はるかるとう）について

春苅島は北方領土に位置する無人島であり、歯舞群島の中の一島です。ロシア名ではハルカル島（о. Харкар）と呼ばれています。この島はアイヌ語での名称「ハル・カル・コタン」または「ハルカルモシリ」に由来し、これは「オオウバユリの鱗茎を採取する村」という意味を持っています。さらに、納沙布日誌には「ハルカルモシリ」と記載されていて、ここでの「モシリ」はアイヌ語で「島」を指します。

地理的特徴

春苅島は勇留島の東沖合に位置し、上の島、中の島、下の島からなります。その総面積は約2平方キロメートルです。この地域は周囲に岩礁が点在し、特に東側は水深が浅く、霧が立ち込めやすい地形です。北、西、南方向は岸が深く、暗礁も多く存在しているため、航行には注意が必要です。

歴史の概略

江戸時代においては、春苅島には樹木は存在しませんでしたが、飲用水は得られていたようです。当時、アイヌの人々は「夷船」と呼ばれる小舟でこの島へ渡っていたことが文献に記されています。その中には霧が非常に厚く、航海において特に注意が必要であったという記録も残っています。さらに、1799年には、ネモロ（根室）とアッケシ（厚岸）のアイヌが立ち会い、島が双方の入会地となることが公式に決まったことも史実として伝えられています。

近代においては、春苅島は明治時代には珸瑶瑁村の一部となり、その後は歯舞村の領域に属しました。戦前には中の島に6人が住んでいた時期もありますが、現在ではロシア連邦の実効支配下にあり、日本は依然として領有権を主張しています。1959年からは根室市に編入された状態です。

生態系と自然環境

春苅島は豊かな自然環境を有しており、特にラッコの繁殖地として知られています。納沙布岬周辺でもラッコの姿が頻繁に観察されており、その生態系の重要な一部を成しています。無人島であるこの島は、手つかずの自然が残っており、観光客の訪問も少ないため、動植物が豊かな環境で生活しています。

まとめ

春苅島は、その独特な地理的特徴と歴史的背景を持つ地点です。この島のアイヌ文化とのつながり、豊かな自然環境、また領有権を巡る問題は、今もなお興味深いテーマとなっています。訪れることで、その魅力を直接感じることができるでしょう。

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