昭和炭鉱

昭和炭鉱：留萌炭田を代表する炭鉱の盛衰

昭和炭鉱は、かつて北海道雨竜郡沼田町に位置し、留萌炭田（雨竜炭田）を代表する炭鉱の一つとして知られていました。明治鉱業が試掘権を設定し、1930年1月に開業、1969年4月30日に閉山しました。

豊富な資源と好条件

昭和炭鉱は、2億トンを超える埋蔵量を誇り、硫黄分の少ない良質な石炭が産出されるという恵まれた条件を持っていました。さらに、石炭の積み出し港である留萌港に近接していることも有利に働き、国内屈指の有力炭鉱として発展しました。

閉山への経緯

しかし、昭和炭鉱は、エネルギー革命の進展という時代の波には逆らえませんでした。石炭から石油などへのエネルギー転換が進むにつれて、石炭の需要は減退。加えて、安全対策に要するコストの増大、多くの断層による計画的な採炭の難しさなどが重なり、昭和40年代前半には閉山を余儀なくされました。

現在の状況

閉山後、炭鉱の主要施設は姿を消しましたが、現在では、かつての炭鉱とは別の場所で露天掘りによる採掘が行われています。これは、残された資源を有効活用しようとする試みと言えるでしょう。

炭鉱街の面影

昭和炭鉱の最盛期には、恵比島駅から留萠鉄道を経た場所に4000人ほどの集落が形成されていました。しかし、閉山後は無人の廃墟となり、当時の賑わいは失われました。それでも、戦後の炭住アパートや、全国的にも珍しい隧道マーケット（10店舗ほどの商店が隧道内に設置されていた）などが、わずかに当時の面影を留めています。これらの遺構は、炭鉱の歴史を物語る貴重な証人と言えるでしょう。

劉連仁と昭和炭鉱

昭和炭鉱は、終戦を知らずに13年間北海道内で逃亡生活を送った劉連仁が元労働者として働いていた場所でもあります。彼の存在は、昭和炭鉱の歴史に複雑な影を落としています。

資料館での展示

炭鉱に関する資料は、付近で操業されていた浅野炭鉱、太刀別炭鉱と併せて沼田町にある「沼田町ふるさと資料館」に若干の資料が展示されています。これらの資料を通して、炭鉱の歴史や当時の生活を知ることができます。

交通

留萠鉄道に接続されていました。

関連事項

* 留萠鉄道

昭和炭鉱は、日本の近代化を支えた炭鉱の一つであり、その歴史は、エネルギー政策の転換や社会の変化を反映しています。閉山後の炭鉱街の姿は、産業の衰退と地域の過疎化という現代社会が抱える課題を象徴していると言えるでしょう。

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