時津山仁一

時津山仁一の生涯

時津山仁一（ときつやま じんいち）は、1925年4月13日に東京府（現・東京都品川区）に誕生しました。彼は福島県石城郡で育ち、立浪部屋に所属した大相撲力士です。実名は藁谷純一（わらがい じゅんいち）であり、彼の最高位は東関脇でした。

幼少期からの苦難

時津山は幼少期に両親が離婚し、父親とは死別してしまいました。その後孤児として育つことになり、親戚に引き取られて全国を転々としました。岩手県花巻で床屋を営む叔母のもとで育った際には、厳しい教育を受けましたが、当時は遊びたい盛りの小学生でした。そのため、彼は何度も逃げ出し、結果的に内気で暗い性格になってしまったのです。

力士への道

後に高砂部屋に所属していた叔父の元を離れ、時津風部屋に入門することとなります。入門当初、時津風部屋は弟子が少なく、稽古も適当に行われていました。それでも、彼は若かりし頃から素質を見込まれ、立浪部屋に正式に入門する運びとなります。四股名「時津山」は、時津風部屋で過ごした生活にちなんで名付けられました。

新弟子時代はなかなか順調ではなく、部屋の押入れに閉じ込もることもありました。しかし、入隊後の厳しい訓練を通じて心身共に強くなり、立浪部屋に戻ってからはまるで別人のように奮闘しました。

栄光と挫折

彼の取り口は、左四つで相手を吊り出したり、矢柄で振り回す豪快なもので、1946年11月場所では幕下優勝を果たしました。1947年には新十両昇進し、その後1949年5月場所では新入幕を果たします。1950年9月の場所では12勝3敗という成績を残し、初めての三賞を受賞。上位陣にとっての脅威として「立浪四天王」と称され、戦後の最強の関脇の一人として名を馳せました。

とはいえ、成績のばらつきがあったことで、大関昇進を果たすことは叶いませんでした。豪快な取り口が逆に影響したとも言われています。しかし、雷電賞を4度受賞するなど、実力を証明し続けました。また、1953年5月には平幕での全勝優勝を達成しましたが、その後の栄光がすべての期待を超えるものにはなりませんでした。

引退とその後

1960年3月場所では、12勝3敗の成績を収め、同年5月には横綱栃錦から金星を奪いましたが、以降は徐々に成績が下がり、1961年3月には全休を経て引退しました。阿弥陀のような道を歩みながら、年寄・押尾川を襲名し、勝負検査役として務めました。

1968年11月21日、時津山仁一は肺癌により43歳という若さでこの世を去ります。彼の持ち味であった豪快な取り口と苦労を伴った人生は、今なお多くの人に語り継がれています。

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