時空の水

アルバム『時空の水』の詳細

『時空の水』（じくうのみず）は、平沢進がソロとして制作した記念すべき初のアルバムであり、1989年9月1日にポリドール（現:ユニバーサルシグマ）からリリースされました。この作品は、平沢がP-MODELに所属していた時期を経て、新たな音楽スタイルを模索した結果生まれました。2020年12月には180gの重量盤アナログレコードとしても再リリースされ、多くのファンから愛され続けています。

概要

『時空の水』は、後に「初期3部作」と称されるアルバム群の第一作であり、科学と祈りの狭間に存在する独特のリアリティがテーマです。1988年12月にP-MODELが一時活動を停止し、平沢は自らのスタイルで音楽を表現しようと決意しました。この作品では、カントリー風の楽曲が登場するなど、以前の音楽とは異なる幅広い音楽性を持つことが特徴です。

また、当時発売されたシンセサイザー「KORG M1」の活用により、平沢の音楽制作スタイルは変化し、自宅での打ち込みを基本に、スタジオでの録音に移行しました。クレジットには「All Performed by SUSUMU HIRASAWA」と記され、彼がほぼ全ての演奏を手がけたことを示しています。

音楽的特徴

このアルバムは、打ち込みを基盤にしつつも、ゲストミュージシャンによる生楽器を取り入れたバンドアレンジが施され、多様な楽器の音色が響き渡ります。また、P-MODELの過去の作品や未発表曲のセルフカバーが含まれていることから、バンドとしての一体感も堪能できる内容となっています。このバンド的アレンジは、以降の作品である『Virtual Rabbit』まで続くこととなります。

収録曲

アルバムには、平沢進が全曲作詞・作曲・編曲を手がけた楽曲が収められています。主な収録曲には以下があります。

• - ハルディン・ホテル

タイの伝統的リズムを取り入れたバージョンも存在し、他の作品との関連も深い曲です。

• - 魂のふる里

1988年に制作されたカセットテープ用の曲のセルフカバーで、サントリーのCMソングにも起用されました。

• - コヨーテ

未発表アルバムの楽曲で、ライブでの演奏も存在します。

• - ソーラ・レイ

シングルバージョンとしても収録されており、多くのカバーもされている曲です。

• - フローズン・ビーチ

初期の代表曲の一つで、アレンジが多数存在します。

参加したミュージシャン

このアルバムには、多くのミュージシャンが参加しており、平沢進はボーカル、ギター、シンセサイザーを担当しました。他にも、友田真吾（ドラム、パーカッション）、今堀恒雄（エレクトリックベース）、松本かよ（ピアノ）、戸川純（コーラス）など、各分野の才能が集結しています。

このように、『時空の水』は平沢進の音楽的革新を感じられる一枚であり、その多面的なアプローチと深いテーマ性により、リスナーに新たな体験を提供します。音楽の枠を超えた彼の表現は、現在まで影響を与え続けています。

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