晴海団地

晴海団地について

晴海団地（はるみだんち）は東京都中央区の晴海にかつて存在した公団住宅で、1957年に建設が開始されました。これは日本住宅公団によるもので、東京湾の月島4号埋立地に位置していました。初めての高層住宅のモデルケースとして設計されたこの団地は、当時の住環境の向上を目指して開発されました。主に高層化の試金石として位置づけられた「晴海団地高層アパート」は、今もその記憶に名を残しています。

概要

晴海団地の開発は、周辺施設と連携しながら進められ、前川國男建築設計事務所が配置計画を担当しました。中層アパートと高層アパートの複合的な住棟構成が特徴で、住棟は「富士見町型」のデザインを採用し、外観には角度がつけられていました。しかし、経年劣化が進んだ結果、建物は2001年に建て替えられ、その跡地には晴海アイランドトリトンスクエアが新たにオープンしました。

名称と住棟番号の使い方

団地自体は、1955年から1965年にかけて「晴海アパート」と呼ばれることもあり、これは公団の資料にも確認できます。また、住棟番号は「○号館」という形式が用いられ、例えば「1号館」といった具合です。団地の外にある都営バスの停留所も「晴海アパート前」と名付けられていました。

各住所と住棟構成

晴海団地の住棟は、1号館から14号館までの中層棠が5階建てで構成されており、特に管理棟と1号館は空中廊下で行き来できる珍しい構造が特徴です。ゴミ収集のための独自の焼却炉や居住者の集会所も設けられていました。高層住棟も存在し、特に15号館は10階建てでスキップフロア方式を採用していました。このような設計は、住環境の質を高める一方で、快適な生活空間を創出することを目指していました。

住棟内のアクセス構造

晴海団地の高層アパートは、スキップアクセスを導入し、住民の動線を工夫しています。エレベーターは特定の階にのみ停止し、住人は他の階へは共用の階段を利用する設計になっていました。これにより住棟内のアクセスが複雑になってしまい、案内板が必要とされました。

生活環境と住民の交流

団地内の開放廊下は、居住者同士の交流の場としても重宝されましたが、子ども達の遊び場ともなり、騒音問題が住民からの苦情として報告されることもありました。1970年代までは比較的高い社会的地位を持つ住民が多く、そうした時代背景を反映して、現場には高級車の列が見られる日常がありました。しかし、1980年代以降は住宅の老朽化とともに住人層が変化し、次第に落書きなどの目立つ現象も見受けられるようになりました。

構造の保存と遺産

晴海団地は解体された後、一部が再現されるなど、その歴史的価値が評価されています。例えば、東京都八王子市にあった都市再生機構の都市住宅技術研究所において「集合住宅歴史館」が設立され、そこでも晴海団地に関する展示が行われていました。また、特に特徴的な外観の要素が新しい居住施設の中庭に一部移されて保存されています。

文化への影響

晴海団地は、映画『しとやかな獣』や『若草物語』の舞台としても使用され、文化的な影響を与える存在としても記憶されています。これらの事例は、その魅力的なデザインや社会的背景が映像作品においても重要な役割を果たしていたことを示しています。

結論

晴海団地は、都市の住宅供給における試みが詰まった場所であり、その後の高層住宅の発展に与えた影響は大きいと言えます。現在では跡地の再開発によってその名を新たな形で引き継いでいますが、当団地の精神や設計理念は、今なお多くの人に語り継がれています。

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