暁民会

暁民会の創設と活動の軌跡

暁民会（ぎょうみんかい）は1920年5月、当時早稲田大学に在学していた学生、高津正道と高瀬清によって設立された、学生と労働者のための政治団体及び社会運動団体です。彼らの目的は、社会運動の研究・普及、争議への支援、そして闘士の育成でした。高津は、学生団体である民人同盟会を結成した後、同じく早大生の高瀬と共同で暁民会を立ち上げました。

設立からおよそ1年後の1921年1月には「アナ・ボル提携」を掲げた『労働運動』（第2次）が創刊され、高津自身もこれに関与します。この活動を通じて、彼はアメリカから帰国した社会主義運動家である近藤栄蔵と接触し、共に社会運動を進める中で日本共産党に接近していくことになります。同年3月には近藤らの尽力により、日本共産党暫定執行委員会が結成され、暁民会はこの新たな組織に参加することになりました。

その後の活動においては、同年4月に近藤がコミンテルンとの連絡のために上海への渡航を果たし、そこから7500円の党結成資金を受け取りますが、帰国の際に「下関遊興事件」で逮捕されてしまいます。この捕縛は、逮捕後に所持金の出所が発覚するという、彼にとって大きな失敗でした。近藤は、その後共産党結成を準備していた堺利彦に資金の提供を提案しますが、拒否されます。そこで高津たちに共産党結成を持ちかけることとなります。

1921年8月には、大学当局からの解散命令によって民人同盟会が活動を停止され、その後は「日本共産党」と名乗って活動を続けることとなります。暁民会の有志たちは、他の有志と共にコミンテルン資金を用いて、各地で宣伝ビラの配布を行いました。特に注目すべきは、11月に東京で行われた陸軍大演習に向けて、分宿中の将兵宛に「上官に叛け」といった印刷物を送付したことです。近藤はこれを「共産党結成」としてコミンテルン・ビューローに報告し、追加の資金を求めました。

しかし、同年11月25日、近藤が逮捕され、続いて12月1日には暁民会の関係者40名が一斉に検挙されるという事件が発生しました。この事件は「暁民共産党事件」として知られています。近藤、高津、仲宗根の名などが当局により「暁民共産党」結成と見なされましたが、実際にはそのような結成はなされていなかったとも言われています。結果、被検挙者の中から15名が出版法および治安警察法違反で起訴され、1922年4月には近藤に禁錮10ヵ月の判決が下されました。

暁民会はこの事件を機に壊滅状態に陥りますが、メンバーの大半はその後、7月に行われる日本共産党の「創立大会」に参加しました。このことから、暁民会や「暁民共産党」と呼ばれるグループは、第一次日本共産党の発展において重要な役割を果たしたと言われています。メンバーには浦田武雄などが名を連ねていました。最終的には、暁民会は共産主義運動の重要な一歩として評価されており、その影響は後の社会運動や政党にまで及ぶものでありました。

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