民人同盟会

民人同盟会について

民人同盟会（みんじんどうめいかい）は、1919年2月に早稲田大学を中心として結成された学生運動団体です。この団体は、自由思想を掲げる運動の一環として創立されました。

成立の背景

民人同盟会の設立は、1918年末に東京帝国大学で結成された新人会に触発されたものでした。早稲田大学内で新たに学生団体を作ろうという機運が高まり、1919年2月21日に早稲田大学の講堂にて「創立記念講演会」を開催し、正式に民人同盟会が成立しました。初代の会員には、高津正道、和田巌、稲村隆一、浅沼稲次郎、三宅正一といった人々が名を連ね、彼らは主に早稲田雄弁会の左派とされるメンバーで構成されていました。顧問には、当時東京朝日新聞社に勤めていた大山郁夫や、早稲田大学の教授である高橋清吾が加わりました。特に高津は、早稲田入学以前からアナキスト団体での活動を通じて、様々な政治的思想を吸収していました。

内部の思想的対立

結成された民人同盟会ですが、内部には多様な思想的潮流が存在しており、設立から数ヶ月後にはその違いが対立として顕在化しました。顧問の北沢新次郎を支持していた和田や浅沼らは、1919年11月に脱退し「建設者同盟」を設立しました。これに対し残留した高津らは、大山を支持しつつ、ロシア革命の影響を受け次第に左傾化していきました。そのため、早稲田大学や警察当局からは厳しい監視対象となりました。

暁民会の設立と解散

こうした経緯を経て、1920年5月には高津や高野実らが新たに社会主義の研究と普及を目的とした「暁民会」を立ち上げました。この団体には学生以外の労働者メンバーも参加していましたが、その活動は同年末に起こった「暁民共産党事件」によって打撃を受けました。高津らはこの事件を理由に早稲田大学から退学処分を受け、結果として民人同盟会は解散の道を辿りました。

歴史的意義

民人同盟会およびその後の活動は、当時の日本における学生運動や社会主義運動の重要な一環でした。脱退した元メンバーや解散後のメンバーたちの多くは、その後日本共産党の形成へとつながっていくことになります。民人同盟会は、短期間での解散を余儀なくされたものの、その活動は日本の政治思想史に名を刻むこととなりました。

参考文献

• - 伊藤隆 『大正期「革新派」の成立』 塙書房（塙選書）、1978年
• - 神田文人 「民人同盟会」 『国史大辞典』第8巻 吉川弘文館、1987年

関連事項

• - 日本の学生運動
• - 共産主義
• - 暁民会
• - 建設者同盟
• - 社会主義
• - 新人会
• - 第一次共産党 (日本)
• - 黎明会
• - ロシア革命

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