高津正道

高津正道について

高津正道（たかつ まさみち、1893年4月20日 - 1974年1月9日）は、日本の社会運動家および政治家として活躍した人物です。彼は衆議院議員を5期務め、副議長にも就任しました。彼の人生は多くの波乱に満ちており、特に宗教に対する批判的立場や、社会主義運動への関与が際立っています。

生い立ちと宗教からの脱却

広島県御調郡羽和泉村で生まれた高津は、真宗本願寺派南光寺の住職を父に持ちました。彼自身も京都で学び、1914年には住職を継ぐこととなります。しかし、仏教改革を目指す中で檀家との深刻な対立が生まれ、最終的には仏教そのものを捨てる決断を下しました。この体験が、彼の後の社会運動への熱意を一層強めたと言えるでしょう。

社会主義活動とその影響

1918年、高津は妻の多代子と共に上京しました。彼は早稲田大学文学部哲学科に入学し、在学中に「暁民会」を結成し、社会主義運動に注力しました。しかし、その活動が問題視され大学を追放されることとなり、1920年には日本社会主義同盟を設立しました。しかし、1921年に発生した暁民共産党事件によって有罪判決を受け、運命が変わることになります。

1922年には日本共産党に参加し、中心メンバーとして活動しましたが、1923年には中国およびソ連に亡命を余儀なくされます。帰国後は郷里での活動を続けるが、福本イズムへの反発から共産党を脱退し、その後は労農党に参加して農民運動や文化運動に取り組みました。

反宗教活動とその後

高津はまた、1931年には日本戦闘的無神論者同盟とは別に「全日本反宗教同盟」を結成しましたが、これは間もなく消滅する運命にありました。1937年には日本無産党の結成に関与しましたが、人民戦線事件によって再度検挙される事態に陥ります。

戦後、高津は日本社会党の創立に参加し、1946年の衆議院議員総選挙で広島全県区から立候補して初当選を果たします。次第にその影響力を高め、広島県第3区から4回当選を経験し、衆議院副議長や両院議員総会長など重要な役職を歴任しました。

提言と対立

1957年には衆議院文教委員会で日本芸術院と日展の関係について問題提起し、芸術の腐敗を正すための議論を活発に展開しました。これにより、日展はより自由な形態へと移行することとなります。

あさま山荘事件の後、1972年に日比谷で開催された集会において、社会主義運動の重要性を再認識し、他者を鼓舞するための演説を行いました。しかし、その後の赤軍の行動が世間から批判を受けるにつれて、自らが賛美していた動きにも疑問が生じることになります。

最後の時

1974年1月9日、高津は80歳で亡くなりました。彼の人生は社会運動に尽力した者として、また政治家としての影響力を持つ人物として記憶されることでしょう。

著書

高津は筆者としても活動し、いくつかの著作があります。代表作には『無産階級と宗教』（大鳳閣、1929年）、『搾取に耽る人々』（大鳳閣、1931年、後に『仏教批判』と改題）があります。これらの著作は彼の思想や社会運動への視点を反映しており、多くの人々に影響を与えました。

高津正道の生涯は、社会運動家としての確固たる信念と、制度との葛藤が交錯したものであり、今日においても語り継がれる存在です。

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