曜変天目茶碗 (龍光院)

曜変天目茶碗について

曜変天目茶碗（ようへんてんもくぢゃわん）は、日本の国宝に指定された特異な茶碗であり、龍光院に所蔵されています。これは、現存する3点の曜変天目茶碗のうちのひとつであり、その中でも特に穏やかな美しさを持つ茶碗として評価されています。この茶碗は、中国福建省建陽市で宋代に作られた黒釉の茶碗で、「天目」という名称は日本の鎌倉時代から使われています。

曜変天目茶碗の由来

「曜変」は、斑紋が青や緑、さらには虹色の光彩で美しく変化することを指しますが、その由来は偶然の熱変化によるものとされ、正確なメカニズムは未解明です。曜変天目茶碗は、日本において唐物文化の代表として、鎌倉時代から室町時代にかけて禅宗寺院で重宝されてきました。この茶碗の存在は、日本の文化や美術における重要な要素と見なされており、とても貴重なものとされています。

外観と特徴

龍光院所蔵の曜変天目茶碗は、高さ6.6cm、口径12.1cm、高台径3.8cmのサイズを持ち、典型的な天目の形状をしています。特に注目すべきは、低く小さい高台が施釉されていない点で、高台の内側は灰黒色の土が素地として見えることです。外側は漆黒の黒釉が厚く施されており、内部に全面的な斑紋が現れています。これらの斑紋の大小や形状は一見地味に見えるものの、観察を深めるにつれて、その趣深さや繊細さを実感させます。特に、銀色の斑紋が口縁近くで星雲状に連なり、底部周辺には密集している点に特徴があります。

附属物と来歴

本茶碗には、白羽二重の蒲団と2重の外箱が付属しており、外箱には「曜変天目」との書き付けがあります。この茶碗は、もともと大坂・堺の大通庵に所蔵されていたとされ、その後、江月宗玩が龍光院へと伝えました。この龍光院は、1606年に創建され、以来400年以上にわたりこの茶碗が保管され続けています。

文化的評価

曜変天目茶碗は、評価において他の2点の曜変天目茶碗と並んで特に高い地位を占めています。著名な美術評論家や専門家たちは、この茶碗の幽玄な趣や品位の高さを強調しています。専門家の中には、他の二碗と比べて反射光が強く、内面には猫の足跡のような斑点が浮かぶ様子を例えて、その独自性を称賛する声もあります。また、龍光院は拝観客の受け入れが少なく、そのためこの特別な茶碗を見る機会も希少です。

まとめ

曜変天目茶碗は、ただの茶碗としてではなく、日本の文化の象徴として息づいています。その独自の美しさと歴史的背景は、珠玉のように貴重な日本の伝統工芸の一部分を成しています。今後もこの茶碗がどのように語り継がれていくのか、さらなる関心が寄せられることでしょう。

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