書生

書生（しょせい）についての概説

書生とは、主に日本の明治・大正時代に他人の家に住み込み、勉学を中心に励む学生を指します。この用語はもともと、勉強する余裕がある人を指していた漢語が転用されたものです。

日本における書生の歴史

1872年に学制が制定されると、多くの学生が地方から都市部に移動し、高等学校や大学へ通うようになりました。しかし、当時は単身者向けの住居は少なく、特に家事をこなすことに不慣れな若者が多かったため、実際の生活はかなり困難でした。それを受けて、彼らは親戚や知人の助けを借りるか、他人の家に下宿することが一般的でした。

このような背景の中、「書生」という言葉は徐々に、「他人の家に住み、家事や雑務を手伝いながら勉強を続ける若者」という意味へと変化していきました。さらに、地方出身の学生の中には、生活費で苦しむ者も多く、篤志家が彼らを自宅に住まわせるというケースも見られました。その場合、書生は家事や雑務を手伝い、場合によっては蔵書の整理や勉学に専念することが求められることもありました。このような関係は、篤志家にとっても地元の優秀な学生を支えることが一種のステータスとなり、彼ら自身にとっても将来的なネットワーク形成の一助となることが多かったのです。

1890年代に入ると、次第に各学校に寄宿舎や学生用アパートが整備されるようになり、書生の数は減少していきました。しかし、学生が住み込みで勉強するというイメージは残り続けました。特に、世界恐慌の影響を受けた時代には、政治家や作家などの家に寄宿し、専門分野の学びを深める若者たちも「書生」として認識されるようになりました。

書生に関連する文学作品

書生という存在は文学作品の題材としても扱われており、坪内逍遥の『当世書生気質』がその代表的な例です。この作品は、当時の書生の生活や気持ちを描写し、当時の社会状況を映し出しています。

関連項目

• - 在籍者 (学習者): 学習機関に通う学生を指す。
• - 師弟: 教師とその教え子という関係を示す。
• - 秘書: 事務的業務を行う補助役。
• - 付き人: 主に著名人の身の回りの世話をする人。
• - ボーヤ、バンドボーイ: 主に演芸業界での助手。
• - 新聞奨学生: 新聞社から奨学金を受ける学生。

書生の定義や歴史、関連する文学作品は、当時の社会背景や文化を理解する上で重要な要素です。その存在は単なる過去のものではなく、今日でも多くの学びの現場に影響を与えています。

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