曹操暗殺 三国志外伝

曹操暗殺 三国志外伝：権力と陰謀が渦巻く歴史絵巻

2012年に公開された中国映画『曹操暗殺 三国志外伝』（原題：銅雀台、英語題：The Assassins）は、魏の太祖・曹操の晩年を舞台に、彼の暗殺計画を描いた歴史大作です。監督はチャオ・リンシャン、主演は巨匠チョウ・ユンファが務め、リウ・イーフェイ、玉木宏ら豪華国際キャストが脇を固めています。

本作の着想は、2009年に発見された曹操の陵墓（西高穴2号墓）に由来します。陵墓からは曹操の遺骨と共に、20代の女性の遺骨も発見され、彼女は殉死者と考えられています。この女性の存在が、映画のヒロイン、霊雎（れいしょ）のキャラクター造形に大きな影響を与えています。

物語は赤壁の戦いから12年後、西暦219年の中国を舞台とします。曹操は幾多の戦いを経て中原で覇権を握り、後漢の献帝を傀儡として魏王の地位に就かせ、威容を誇示する巨大な宮殿、銅雀台を築きました。

一方、曹操暗殺の密命を受けた二名の刺客、穆順（ぼくじゅん）と霊雎がいました。彼らは関中での戦いで捕らえられ、5年間もの間、陵墓を模した牢獄で暗殺者としての訓練を積まれていました。

穆順は宦官として、霊雎は美貌を武器として曹操に接近します。それぞれの思惑と、曹操を取り巻く複雑な人間関係、そして権力闘争が、息詰まるような緊張感の中で描かれます。

曹操を演じるチョウ・ユンファの圧倒的な存在感、そしてリウ・イーフェイ演じる霊雎の妖艶さと強さ、玉木宏演じる穆順の揺れる心情など、キャスト陣の熱演も見どころの一つです。献帝、曹丕、伏皇后といった歴史上の重要な人物たちも登場し、歴史的事実を踏まえつつ、ドラマチックに物語が展開していきます。

映画の原題である「銅雀台」は、曹操が西暦210年に鄴（ぎょう）に建設した宮殿の名前です。この宮殿は、曹操の権力の象徴として物語の中で重要な役割を果たしています。

公開時期が日本政府による尖閣諸島国有化と中国における反日運動と重なったため、日本の劇場公開時には、ポスターなどから玉木宏の姿が削除されるという異例の事態も発生しました。

『曹操暗殺 三国志外伝』は、歴史的事実をベースにしながらも、フィクションを織り交ぜたエンターテイメント性豊かな作品です。壮大なスケールと、複雑に絡み合う人間模様、そして予想外の展開に、最後まで目が離せません。中国の歴史に興味のある方、歴史劇ファン、そしてチョウ・ユンファやリウ・イーフェイといったスター俳優の演技を堪能したい方にとって、必見の作品と言えるでしょう。

なお、本作は日本語吹き替え版も制作されており、日本語で鑑賞することも可能です。

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