銅雀台

銅雀台：曹操が築いた栄華の象徴

銅雀台（どうじゃくだい）は、後漢末期から三国時代の魏にかけて活躍した曹操が、魏王に封じられた際に、本拠地である鄴（現在の中国河北省邯鄲市臨漳県）に建設した宮殿です。210年の冬に完成し、その壮麗さは当時の人々を魅了しました。現在では遺跡としてその名残をとどめています。

歴史

201年に袁紹を破った曹操は、漳河のほとり、鄴の地に大規模な土木工事を開始し、銅雀台を築きました。高さは約33メートルに達し、3つの宮殿が並び立ち、それぞれが橋で連結されるという壮大な構造でした。213年には銅雀台の南に金虎台、翌214年には北に氷井台が建設され、これらは合わせて「三台」と称されました。

『水経注』には、銅雀台について「鄴の西北部にあり、壁を基礎とし、台の高さは10丈で、百余りの建物があり、高くそびえ立って山のような威容を誇る」と記されています。当時の記録としては、曹操の五男である曹植が「銅雀台の賦」を著し、曹操から賞賛されたという逸話が残っています。また、三男の曹丕も「登台賦」で銅雀台の様子を描写しており、文化的な側面からも重要な場所であったことが伺えます。蔡文姫が「胡笳十八拍」を演奏したのもこの宮殿であると伝えられています。

五胡十六国時代には、後趙の石虎によって基礎が36.6メートルにまで増強され、5階建ての建造物へと改築されました。石虎は銅雀台に二つの井戸を掘り、鉄の梁でそれらをつないで「命子窟」と名付け、財宝や食糧を貯蔵したと伝えられています。558年には、30万人の工匠を動員して「三台」の大規模な増築を行い、氷井台を崇光台、銅雀台を金鳳台と改称しました。しかし、唐の時代になると、元の名称に戻されています。

唐の詩人、杜牧は詩「赤壁」の中で、「もし赤壁の戦いで曹操が勝利していたら、二喬（大喬・小喬）は銅雀台にいただろう」と詠みました。この詩は、曹操が二喬を銅雀台に侍らせたいという野心を抱いていたという逸話を元にしています。このエピソードは、『三国志演義』にも登場し、広く知られるようになりました。北宋時代には、王安石が「銅雀台の詩」を著し、その風光明媚な様子を称賛しています。この頃から、銅雀台の屋根瓦で作られた硯が「瓦硯」として文人の間で珍重されるようになりましたが、実際には贋物であったとされています。日本でも、平安時代に嵯峨天皇が「和尚書右丞良安世銅雀臺」という漢詩を詠んでいます。

元末には洪水によって一部が破損し、明末には大洪水によって大部分が倒壊しました。現在では、ほとんどの遺構が地下に埋もれており、その壮麗な姿を偲ぶことは難しくなっています。

関連項目

三国志演義
松前藩: 銅雀台の瓦硯を所蔵していた。
* 曹操暗殺 三国志外伝（原題：銅雀台）

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