曺奉岩

曺奉岩の生涯

曺奉岩（チョ・ボンアム、1899年9月25日－1959年7月31日）は、韓国の政治家、さらには独立運動家であり、特に社会民主主義を掲げて活動したことで知られています。本貫は昌寧曺氏であり、その号は竹山（チュクサン）です。彼の妻は活動家であった金祚伊です。

早年期と独立運動

曺奉岩は京畿道江華郡で生まれ、地元の農業補習学校を卒業後、江華郡庁で職員として働いていました。しかし、1920年に発生した三・一独立運動に参加したことが原因で逮捕され、投獄されます。解放後は日本に留学し、当時の中央大学で政治学を学びました。留学中、彼は朴烈らと共に在日朝鮮人の社会主義団体「黒濤会」を立ち上げ、その後帰国してからも朝鮮日報で記者として活動し、新興青年同盟などで独立運動に身を投じました。

政治家としての活動

1925年には朝鮮共産党の結成にも参加し、また京城での高麗共産青年会の結成に関与しました。彼の政治的信念は強固であり、一国一党主義に則って中国共産党との関係も築いていきました。1932年には日本の警察に逮捕され、新義州の刑務所で7年間にわたり収容されます。出獄後は金祚伊と結婚し、その後の活動を故郷の江華島で続けました。

1946年には、共産主義路線に対する批判がきっかけで米軍に拘束され、政治的立場を反共に転換していきます。その後、1948年には南朝鮮の制憲議会議員選挙で勝利し、李承晩政権下で農林部長官に任命されました。

朝鮮戦争とその後

朝鮮戦争中には、李承晩大統領と共に非難される立場となり、1952年の大統領選挙に立候補するも落選。その後、進歩的なアプローチを取り続け、1956年には進歩党を結成して李承晩政権に挑戦しました。しかし、李承晩は彼を国家保安法違反の罪で逮捕し、1959年に処刑してしまいます。

この事件は進歩党事件と呼ばれ、曺奉岩の死は当時の政治的背景に大きな影響を与えました。彼の処刑は政治問題とされることはなく、曺奉岩の主張する「平和統一」の理念は批判されました。

死後と評価の変化

彼の死後、家族は長年に渡り監視の目に晒されましたが、近年は彼の政治理念に対する再評価が見られるようになりました。2007年には真実・和解のための過去史整理委員会が、遺族への謝罪を勧告し、独立有功者としての認定が進められたのです。

2011年、曺奉岩は再審においても無罪判決を受け、政治的名誉が回復される道が開かれましたが、母国の歴史において彼が抱えていた親日疑惑が今なお彼の評価を難しくしている側面があります。

結び

曺奉岩の生涯は、朝鮮半島の複雑な歴史の中で数々の波乱に満ちていました。彼の理念や信念は、近年の民主化の進展と共に再評価され、平和統一論は益々その重要性を増しています。

彼の業績は、韓国の政治において今後さらに再認識されていくことでしょう。

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