曽代用水

曽代用水について

曽代用水は、岐阜県美濃市曽代の長良川左岸から取水し、美濃市と関市を流れる農業用水路です。2015年には、その歴史的価値と灌漑における重要な役割が評価され、世界かんがい施設遺産に登録されました。この用水路は、地域の農業を支えるだけでなく、その歴史的な背景から、地域文化においても重要な役割を担っています。

地理

曽代用水は、長良川の左岸、美濃市曽代地区から取水を開始します。そこから曽代地区を縦断し、小倉山と長良川の間を縫うように流れ、美濃市役所の西側を通過します。さらに、国道156号に沿って南下し、松森地区を通過した後、東海北陸自動車道美濃ICの東側を通り、関市へと入ります。関市内では、岐阜県道281号関美濃線に沿って南下し、下有知中学校の東を通過した後、関市水の輪町付近で3つに分流します。分流した水は、小瀬地区と関市街地方面へと流れ、美濃市と関市の広大な田畑を潤しています。かつては板取川との合流地点付近で取水が行われていましたが、河川水位の低下により1934年に上流部（天神大橋付近）へと取水部が付け替えられました。この変更は、安定した水供給を確保するために行われました。

歴史

江戸時代前半、下有知村（現在の関市の一部）周辺は、水の便が悪く、度重なる干ばつに悩まされていました。この状況を打開するため、尾張藩の浪人であった喜田吉右衛門と林幽閑は、地元の豪農である柴山伊兵衛と協力し、長良川上流から下有知村まで用水路を引く計画を立てました。1663年（寛文3年）に役人の内諾を得たものの、手作業での難工事と多額の費用が掛かりました。喜田と林は途中で資金が尽きて計画から離脱しましたが、柴山は諦めずに計画を推し進め、1675年（延宝3年）に約10年の歳月をかけて完成させました。この用水路の完成により、下有知村周辺は安定した水資源を確保できるようになり、農業生産が大きく向上しました。

喜田、林、柴山の3人の偉業を称え、関市下有知には井神社が建立され、彼らが祀られています。毎年8月1日には例大祭が行われ、地域住民から厚く信仰されています。

2015年には、その歴史的背景と農業への貢献が認められ、国際かんがい排水委員会によって世界かんがい施設遺産に登録されました。さらに、国際連合食糧農業機関による農業遺産「清流長良川の鮎」の構成資産としても登録されています。これらの登録は、曽代用水が持つ文化的、歴史的価値を国際的に認めたものと言えるでしょう。

流域の自治体

曽代用水は以下の自治体を流れています。

岐阜県
美濃市
関市

関連情報

関連項目:
上有知湊
外部リンク:
世界かんがい施設遺産 曽代用水
疏水名鑑

曽代用水は、その歴史と地域への貢献から、地域住民にとって非常に大切な存在です。また、世界かんがい施設遺産に登録されたことは、この用水路の価値を世界に示したものと言えるでしょう。

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