曽文ダム

曽文ダムの概要

曽文ダム（そぶんだむ）は、台湾の嘉義県大埔郷に位置する台湾最大のダムであり、主に曽文渓の上流にある大埔渓を水源としています。このダムは、広大な湛水面積17.14平方キロメートルを有し、総貯水容量は7億800万立方メートルという規模を誇ります。曽文ダムは、嘉南地区の灌漑用水の供給だけでなく、洪水調節や発電などの多目的な用途に利用されており、また観光資源としても重要な役割を果たしています。

管理事務所は台南市楠西区にあり、1967年に着工され、1973年に正式に完成しました。

歴史

初期構想

曽文ダムの建設計画は、台湾第四の大河である曽文渓に基づいています。ダムの設計は、嘉南大圳を手掛けた八田與一によるもので、彼は1939年にダムの建設を提案しましたが、戦時のため実現には至りませんでした。

計画と建設

戦後、灌漑用水が不足する中、台湾省水利局が1959年に曽文ダムの建設に着手しました。1966年には建設委員会が設立され、1967年に工事が開始されました。アメリカの技術協力を受けつつ、日本の建設会社が関与し、約6年間の工期を経て1973年に完成しました。品質管理のもと、翌1974年に運用が開始されました。

資金調達

1968年には「台湾省糧食実物債券条例」が制定され、曽文ダムの建設資金調達に使われました。これは1985年に廃止されましたが、当時の重要な資金源となりました。

設計

曽文ダムは、133メートルの堤高を持ち、台湾第三位のアースフィルダムです。設計貯水容量は台湾最大の7億4,800万立方メートルで、洪水吐も3つ設けられています。

諸元

• - 管理：経済部水利署南区水資源局曽文ダム管理センター
• - 流域面積：481平方キロメートル
• - 常時満水位：227メートル
• - 完成時総貯水量：7億800万立方メートル
• - 堤高：133メートル
• - 発電設備容量：50,000kW

関連プロジェクト

近年、堆砂問題への対策として、改修プロジェクトが複数進行中です。特に2009年に発生した台風による影響で、堆砂対策の見直しが求められています。2012年には砂防工事が行われ、2018年には排砂トンネルが完成しました。

その他の情報

政府は、曽文ダムの貯水容量を最大限に活用するため、流域外からの送水計画を立てましたが、環境問題から議論が巻き起こりました。

また、1990年には台湾空軍のT-34練習機がダムに墜落する事故もありました。

曽文ダムはその巨大な貯水能力と多目的機能により、台湾における水資源管理の重要な施設であり、地域の自然環境や観光資源にも影響を与える存在です。

もう一度検索