曽根幸蔵

曽根幸蔵について

曽根幸蔵（1903-1973）は、日本の柔道界における著名な人物であり、講道館の9段を持つ優れた柔道家です。彼は昭和初期において、100kgを超える特異な体格を活かして、柔道界の豪傑として名を馳せました。特に明治神宮競技大会を含む多くの大会で目覚ましい成果を収め、警視庁の柔道教師としても活躍しました。また、彼は言わずと知れた三船久蔵の高弟であり、彼の育成に貢献したことでも知られています。さらに、甥の曽根康治が1958年の世界選手権大会で優勝したことも、曽根の教育の証と言えるでしょう。

幼少期からの経歴

曽根は埼玉県で生まれ、幼少期には柔術を学びましたが、形ばかりの稽古に不満を感じていました。1920年に講道館に入門し、名人の三船久蔵に師事したことで本格的な柔道に目覚めます。その後、短期間で技術を磨いた彼は、初段から3段へと順調に昇段を果たしました。月例の試合や紅白試合に積極的に参加し、試行錯誤の中で左技を鍛えることにも成功し、次第に成績が上がっていきました。

1927年には警視庁の柔道教師に任命され、その体格と強靭な腕力で「警視庁の曽根」と称されました。1930年代には東西対抗戦などにも出場し、名の知られた柔道家としての地位を確立し、牛島辰熊を破った際には当時のニュースで大々的に取り上げられました。

柔道家としての功績

曽根は多くの大会に出場し、柔道教士の称号を持ちながらも、勝負運に恵まれない一面も持っていました。特に、1934年の昭和天覧試合での敗北を振り返り、優勝のことばかり考えてしまい、平常心を欠いていたと自ら分析しています。その中でも、彼は身体能力と技術の高さを持ちながらも勝利をつかむことができませんでした。しかし、彼の貢献は試合結果だけに留まらず、後進の育成や技術の革新にまで及びました。

指導者としての活動

戦後も曽根は柔道界において影響を持ち続け、1962年には9段に昇段し、講道館の審議員としても活動しました。東京都柔道連盟副会長、道友会会長などの役職を歴任し、また、自ら設立した「曽根道場」で後進を指導しました。彼の指導のもとで育った柔道家たちは数多く、愛媛県警察や長崎県警察などにも教えを広めました。

彼は「柔道の稽古は若いうちに猛練習することが最も重要である」と教え、若い世代へ柔道への情熱を伝えることに力を注ぎました。また、彼の甥が国際大会で成功を収めるなど、曽根の教えが確実に次世代につながっていることを示しています。

最晩年

曽根は1973年に胃癌により亡くなりました。亡くなる直前の彼は、柔道界の重要な存在として多くの影響を及ぼしていました。彼の教えや弟子たちによる活躍は、今もなお多くの柔道家たちに受け継がれています。死後、彼はかつての縁の深い宝仙寺に葬られ、柔道界の記憶に永遠に残る人物として慕われています。彼の教育と情熱は、柔道のみならず、多くの人々に感動を与え続けていることでしょう。

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