最上八楯

最上八楯について

最上八楯（もがみやつだて）は、戦国時代に出羽国で存在した有力な国人の連合体で、一般的には天童八楯（てんどうやつだて）とも呼ばれています。この連合は、最上氏および天童氏の分族から構成され、地域の政治や軍事において重要な役割を果たしました。

形成と背景

最上八楯は、室町時代に最盛期を迎えた最上氏の分族によって形成されました。当初は各地に配置された分族が独立した勢力を築いていましたが、時が経つにつれてその力も衰退していきます。最上義定の時代には、伊達稙宗からの侵攻があり、最上氏は敵の傘下に入ることとなりました。この時期に、村山郡北部から最上郡にかけての国人領主たちが、天童氏を盟主として同盟を結ぶことがきっかけで、最上八楯が成立しました。

主要な出来事

義定の死後、後継者の指名を巡る争いが起こり、八楯のメンバーたちは伊達氏の影響を嫌い、最上氏に支持を寄せました。しかし、天正最上の乱が勃発すると、彼らは最上義守・伊達輝宗側に付いて最上義光と対立しました。時が経ち、義守・伊達氏との間で和議が結ばれると、八楯も義光と和解します。

天正5年（1577年）には、義光が天童氏を攻撃するものの、八楯が盟主である天童氏を支援したため最上軍は敗北しました。この結果、天童氏の娘を義光の側室とすることで和議が成立しました。その後、義光は八楯と連携する上山氏の当主、上山満兼を暗殺し、さらに小国城主であった細川直元を攻略します。

しかしながら、天正10年（1582年）には、義光が迎えた側室が急死したため、両者の同盟関係は崩壊します。最上義光は再び天童氏への攻撃を決意し、ついには天童城を落とし、天童頼澄は陸奥国へ逃れます。この戦を経て、八楯の主要氏族は最上氏へと従属していきました。

八楯の構成

最上八楯に属するのは、次の八つの家系です：

• - 天童氏 - 盟主として天童城を中心に勢力を拡大。
• - 延沢氏 - 延沢銀山を本拠地とし、長きにわたって地域の重要な役割を果たす。
• - 飯田氏 - 村山市を拠点として活動。
• - 尾花沢氏 - 尾花沢城を本拠地とする。
• - 楯岡氏 - 楯岡城を拠点とし、最上氏の庶流。
• - 長瀞氏 - 長瀞城を拠点とし、特に強力な勢力の一つ。
• - 六田氏 - 山形市から上山市にかけての地を支配。
• - 成生氏 - 天童市周辺に位置。

また、同盟に加わっていた勢力には、僧兵を有する佛向寺や、奥州細川氏に属する細川直元などが存在しました。

主要人物

八楯の歴史には多くの重要人物が含まれており、以下の人々が挙げられます：

• - 天童頼澄 - 盟主としての役割を果たす。
• - 延沢満延 - 様々な政治的・軍事的な動きに関与。
• - 東根頼景 - 地域における影響力を持つ。
• - 細川直元 - 奥州の有力な領主。
• - 上山満兼 - 上山氏の当主。

最上八楯は、戦国時代の出羽国における重要な連合体であり、地域の政治の動向に大きな影響を与えました。その繁栄と衰退を通じて、各家の力関係や同盟関係の変化が見て取れます。

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