最上稲荷

最上稲荷山妙教寺：神仏習合の息づく歴史ある寺院

岡山県岡山市北区高松地区に位置する最上稲荷山妙教寺は、日蓮宗に属する寺院です。高松稲荷という通称でも知られ、その歴史と神仏習合の独特な様式から、日本三大稲荷の一つに数えられるほど重要な寺院となっています。

歴史と概要

明治時代の廃仏毀釈の嵐を奇跡的に免れた岡山県唯一の寺院とされ、現在も神仏習合の祭祀形態を色濃く残しています。創建は天平勝宝4年(752年)と伝えられ、報恩大師が孝謙天皇の病気平癒を祈願したことが始まりとされています。その後、桓武天皇の病気平癒の祈願にも成功し、寺院の建立へと繋がりました。

戦国時代の兵火によって一度は焼失しましたが、江戸時代初期に再興。この際に天台宗から日蓮宗へ改宗し、現在に至ります。昭和29年には一時日蓮宗から独立し、最上稲荷教総本山妙教寺となりましたが、平成21年には再び日蓮宗に復帰しました。現在も「最上稲荷総本山」の通称は使用されています。

本尊

祈祷本尊は最上位経王大菩薩（稲荷大明神）です。最上位経とは法華経を指し、本尊の像容は、右手に鎌、左肩に稲束を背負い、白狐にまたがる天女の姿をしています。これは稲荷神の本地とされる荼枳尼天の特徴を踏襲したものです。

創建伝承と近世以降

寺伝によれば、報恩大師が吉備山中の八畳岩で修法し、最上位経王大菩薩を感得したことが始まりです。その後、桓武天皇の祈願成就を機に、備中国龍王山麓に寺院が建立されました。これが現在の妙教寺にあたります。

江戸時代以降は、霊応殿本殿（旧本殿）が岡山市重要文化財に指定されるなど、歴史的建造物が数多く残されています。現在の本殿（霊光殿）は昭和54年に建造されました。また、根本大堂を始めとする多くの建造物が国の登録有形文化財に登録されています。

文化財と周辺施設

境内には、岡山市指定重要文化財である霊応殿本殿を始め、多くの建造物が国の登録有形文化財に指定されています。また、境内には高さ27.5メートルにも及ぶ大鳥居がそびえ立ち、参拝客の目を引きます。周辺には、最上稲荷ゆかりの土産物である「ゆずせんべい」を販売する店が多数あり、参道散策の楽しみの一つとなっています。

交通アクセス

最上稲荷山妙教寺へのアクセスは、JR吉備線備中高松駅から徒歩約30分、またはタクシーで約5分です。正月三が日には臨時バスも運行されます。車の場合は、岡山自動車道岡山総社IC、山陽自動車道吉備スマートICからそれぞれアクセス可能です。ただし、初詣や節分などの時期は周辺道路が大変混雑するため、公式ホームページで交通規制情報を確認する必要があります。

終わりに

最上稲荷山妙教寺は、歴史と伝統、そして神仏習合の独特な雰囲気を肌で感じられる場所です。岡山を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。その荘厳な雰囲気と、歴史の重みを感じることができるでしょう。 多くの文化財や、参道に立ち並ぶ土産物屋、そして大鳥居など、見どころも満載です。 また、周辺には吉備高原自転車道や備中高松駅などもあり、観光の拠点としても最適です。 初詣シーズンには、県下最大の参拝客数を誇る賑わいも体験できます。

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