最強獣誕生 ネズラ -NEZULLA-

『最強獣誕生 ネズラ -NEZULLA-』は、2002年10月25日に東京国際ファンタスティック映画祭の企画として初公開された日本の特撮怪獣映画であり、また劇中に登場する怪獣の名称でもあります。オリジナル企画に基づき製作された本作は、未知のウイルスによって引き起こされる巨大生物の出現と、それに伴うパニック、そして感染拡大という二重の恐怖を描いています。

物語の中心となる怪獣「ネズラ」は、あるウイルスに感染し、その影響によって体長2メートルから3メートルにまで異常な巨大化と変異を遂げたモルモットです。通常の愛らしい姿とはかけ離れ、全身の体毛は失われ、剥き出しになった筋肉と血走ったかのような赤い目が露出した、おぞましくグロテスクな姿をしています。その性質は極めて凶暴で、人間を餌として認識し、主に暗闇に紛れて執拗に人間を襲撃、餌食とします。容赦なく、そして残虐に人間を屠るその姿は、観る者に強い恐怖感を与えます。

さらに、ネズラを誕生させた特殊なウイルスは、怪獣の変異だけに留まらず、人間にも感染する性質を持っています。劇中では、このウイルスが一般市民の間で急速に広がり、まるで疫病のように猛威を振るい、社会に混乱とパニックをもたらす描写も織り交ぜられています。これは、単なる怪獣映画としてだけでなく、未知の感染症に対する人類の脆弱性や恐怖をも描こうとする意図が見られます。

映画には、この未曽有の脅威に対抗するため、自衛隊やアメリカ軍が登場します。自衛隊は業務トラックやAH-1対戦車ヘリコプター、64式7.62mm小銃、M11機関拳銃といった装備を用い、ネズラの駆除や感染拡大阻止にあたります。アメリカ軍もM9自動拳銃やファイティングナイフなどを携え、事態の収束に協力する姿勢が描かれています。

本作の製作には、多岐にわたるスタッフが参加しています。監督と脚本を務めたのは田川幹太氏です。プロデューサーとして山本正氏、永森裕二氏、後藤圭介氏、石毛栄典氏らが名を連ねています。撮影監督は小林元氏、クリーチャーデザインは怪獣ネズラの強烈なビジュアルを生み出した高柳祐介氏が担当しました。美術は磯見俊裕氏、湊博之氏、CGは今泉良明氏、メイクは小林まさゆき氏、ラインプロデューサーは梨木友徳氏が務めました。また、選曲を有元賢二氏、録音を臼井勝氏、監督補を吉田剛也氏が担当するなど、多くのクリエイターによって作り上げられています。

出演者としては、自衛隊員・麻生を隆大介氏、米軍軍曹ジョンを久保田芳之氏、米軍兵ジェニー川口を時任歩氏、看護婦を桜庭あつこ氏、保健所の医師を新田純一氏、洋子を勝村美香氏、病気の女を長曽我部蓉子氏らが演じています。

劇中で使用される挿入曲には、意外な選曲としてクラシック音楽が用いられています。特に、シューベルトの「アヴェ・マリア」や、ペルゴレージ作曲とされる「スターバト・マーテル」より「ああ、感じずにいられようか（Quae moerebat et dolebat）」といった楽曲が印象的に使用されています。

なお、「ネズラ」という名称や巨大ネズミの怪獣が登場する企画としては、1960年代に大映が製作を企画したものの、実現しなかった幻の特撮企画「大群獣ネズラ」が存在します。本作は直接的な続編やリメイクではありませんが、その名称やコンセプトにインスパイアされた可能性が指摘されることもあります。本作に関する情報は、国際的な映画データベースであるIMDbなどでも確認することができます。

『最強獣誕生 ネズラ -NEZULLA-』は、低予算ながらもクリーチャーの造形やスプラッター描写に力を入れ、ストレートな恐怖表現を追求した特撮ホラー映画として、一部の特撮ファンやホラーファンからカルト的な支持を得ています。

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