最後の勝利者

最後の勝利者 (The Best Man)

『最後の勝利者』（さいごのしょうりしゃ、The Best Man）は、1964年に公開されたアメリカ合衆国の映画です。1960年にゴア・ヴィダルが発表した戯曲を自ら脚色し、アメリカ大統領選挙の舞台裏における政治的策略や人間関係を描き出しています。監督はフランクリン・J・シャフナー、主演はヘンリー・フォンダが務めました。

日本では劇場未公開ですが、1974年9月1日にTBSテレビで放送されたほか、WOWOWでは『最後の勝利者 激突!大統領選』というタイトルで放映されています。

ストーリー

物語は、アメリカ大統領選挙に向けた民主党の指名争いを軸に展開されます。主人公は、誠実で理想主義的な元国務長官ウィリアム・ラッセルと、若く野心的な上院議員ジョー・カントウェル。党の指名を獲得するため、二人は互いの弱みを握り、激しい駆け引きを繰り広げます。

ラッセルは知性と経験を持ちますが、過去の精神的な問題が弱点となります。一方、カントウェルはカリスマ性と大衆への訴求力を持つものの、粗野で攻撃的な一面があり、過去の疑惑がつきまといます。

選挙戦が進むにつれて、二人の候補者は互いのスキャンダルを暴露し、支持を得ようとします。しかし、ラッセルは、カントウェルの過去の不正行為を暴く決定的な証拠を手に入れるものの、その証拠を使うことを躊躇します。彼は、勝利のためには手段を選ばないカントウェルとは異なり、良心と道徳の間で葛藤するのです。

物語は、政治の世界における理想と現実、そして権力欲に囚われた人間の姿を鋭く描き出しています。

キャスト

ウィリアム・ラッセル: ヘンリー・フォンダ（小山田宗徳） - 元国務長官。理想主義者だが、過去の精神的な問題を抱える。
ジョー・カントウェル: クリフ・ロバートソン（村越伊知郎） - 上院議員。若く野心的で、カリスマ性を持つ。
メイベル・カントウェル: エディ・アダムス - ジョーの妻。
アリス・ラッセル: マーガレット・レイトン（浜田寸躬子） - ウィリアムの妻。
シェルドン・バスコム: シェリー・バーマン（肝付兼太） - ラッセルの側近。
アート・ホッブステッター: リー・トレイシー（寺島幹夫） - 元大統領。ラッセルとカントウェルの支持を左右する。
スー・エレン・ガマッシ: アン・サザーン（花形恵子） - 党副議長。
ドン・カントウェル: ジーン・レイモンド - カントウェルの選挙運動部長。
ディック・ジェンセン: ケヴィン・マッカーシー（城山知馨夫） - ラッセルの選挙対策本部長。

※括弧内は日本語吹き替え（テレビ版）

スタッフ

監督: フランクリン・J・シャフナー
製作: スチュアート・ミラー、ローレンス・ターマン
原作・脚本: ゴア・ヴィダル
撮影: ハスケル・ウェクスラー
編集: ロバート・スウィンク
音楽: モート・リンゼイ

評価

『最後の勝利者』は、政治の裏側をリアルに描き出した作品として高く評価されています。特に、大統領選挙というテーマを通じて、人間の欲望や倫理観、そして政治の力学を深く掘り下げている点が評価されています。

ゴア・ヴィダルの脚本は、登場人物の心理描写が巧みで、緊張感のあるドラマを生み出しています。また、フランクリン・J・シャフナー監督は、政治的な駆け引きをスリリングに演出し、観客を引き込みます。

ヘンリー・フォンダ、クリフ・ロバートソンをはじめとする俳優陣の演技も高く評価されており、それぞれのキャラクターの複雑な内面を見事に表現しています。

外部リンク

最後の勝利者 - allcinema
最後の勝利者 - KINENOTE
The Best Man - IMDb（英語）

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