月 (タロット)とは？意味をやさしく解説

タロットカード「月」の解説

タロットの大アルカナに属するカード「月」（英：The Moon、仏：La Lune）は、番号18を持ち、周囲の強い影響を受けやすい象徴として位置づけられています。このカードは、前のカード「17 星」と次のカード「19 太陽」ともつながりを持ち、不安定さや幻惑を意味します。

カードの意味

「月」のカードには、正位置と逆位置とで異なる解釈が存在します。正位置では、不安定さや現実逃避、潜在的な危険が示唆され、欺瞞や幻滅、トラウマなど深い心理的影響も表しています。一方、逆位置では、過去からの脱却や未来への漠然とした希望、直感の鋭さが表現されています。このように、同じカードでも置かれた位置によって全く異なるメッセージを伝えるのが特徴です。

カバラとの関連

「月」は、カバラにおいてヘブライ文字「コフ」（ק）に関連付けられます。さまざまな解釈が存在しますが、「黄金の夜明け団」の教えでは、ネツァクとマルクトのセフィラを結ぶ経路とも関連しているとされています。

占星術との関係

「月」のカードは、占星術においてもいくつかの星座や惑星に関連付けられています。巨蟹宮、宝瓶宮、双魚宮といった星座、また水星や金星といった惑星との関連があると言われています。これらのつながりは、カードの持つ意味をより深く理解するための手助けとなります。

寓画の解釈

「月」のカードには多くの象徴が描かれており、その一つは月の女神です。カードに描かれた顔のある月は母性を象徴し、古くから女性や女神の象徴とされてきました。月は陽の光に対する陰の象徴として、精神的な側面を強調する存在です。

また、カードには前人未踏の荒野が描かれ、現実とは異なる黄金色の風景は、理想的な状況や精神世界を表しています。両脇の「塔」のような建物は古い伝統と新しい価値観の対立を示し、犬は内面の葛藤を表す重要な要素です。これらは、お互いに反発し合いながらも一体として存在する二元性を表現しています。

月の雫とザリガニ

月光として描かれる「雫」の形状は、精神的な明確さを暗示します。一方、ザリガニはこのカードの解釈において重要な役割を果たします。ギリシャ神話では、ザリガニはヒーローを引きずり込もうとする下等生物として描かれ、カードの見えない側面を象徴しています。

ウェイト版の特徴

ウェイト版の「月」は、マルセイユ版と比べても大きな設計変更がなされていない数少ない例の一つです。水の中にいる甲殻類や建物の形状に注目すると、両者間の違いは微細ですが、ウェイトならではの新しい解釈が見て取れます。彼の描く建物は「世界」への導きの門を象徴し、動物的本能と理性の対比が表現されています。

カードの要旨

「月」のカードが持つメッセージは、自身が導く未見の真実への道程を描いています。しかし、その道は容易ではなく、試練や葛藤を乗り越えなければならないことを示唆しています。心の奥底に眠る無形のものが、導きの光となるのです。

参考文献

- サリー・ニコルズ『ユングとタロット』
- アルフレッド・ダグラス『タロット』
- 井上教子『タロット解釈実践事典―大宇宙の神秘と小宇宙の密儀』

外部リンク

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