月明かりに照らされて

シンガーソングライター、山崎まさよしにとって、キャリアの第一歩を記した作品が、この「月明かりに照らされて」です。1995年9月25日に、ポリドール・レコード（現在のユニバーサルミュージック）よりリリースされたこのシングルは、彼の記念すべきメジャーデビュー作として歴史に刻まれています。

表題曲である「月明かりに照らされて」は、発売当時から大きな注目を集めました。特に、セゾンカード インターナショナルのテレビコマーシャルソングとして起用されたことで、その透明感あふれるメロディと情感豊かな歌声は多くの人々の耳に届きました。また、テレビ朝日系で放送されていた情報番組『サンデージャングル』のオープニングテーマとしても使用され、様々なメディアを通して楽曲が浸透していきました。

この楽曲のために制作されたミュージックビデオは、印象的なモノクローム映像で構成されており、曲の世界観を深く表現しています。この映像作品は、後にリリースされた山崎まさよしの初期ミュージックビデオ集『動く山崎 VIDEO CLIPS 1995-1998』に収録されており、当時の彼のパフォーマンスや雰囲気を今に伝えています。

シングルにはカップリング曲として、「Rough Rock'n Roll Boogie」と「mud skiffle track I」が収められています。中でも「Rough Rock'n Roll Boogie」は、山崎まさよしのデビューに至るまでの興味深いエピソードと深く結びついた楽曲です。伝えられるところによれば、彼が本来目指していた歌手オーディションではなく、誤って俳優オーディションに足を運んでしまった際、審査員から「せっかくだから何か歌ってみたらどうか」と勧められ、その場で披露したのがこの「Rough Rock'n Roll Boogie」だったといいます。この偶発的なパフォーマンスが審査員の目に留まり、後にレコード会社関係者からの連絡、そしてデビューへと繋がったとされています。まさに、彼の音楽人生を拓く鍵となった運命的な一曲と言えるでしょう。

リリース形態としては、当初はコンパクトな8センチシングルとして市場に登場しました。しかし、その後の音楽メディアの変遷や、楽曲への需要に応える形で、2000年5月31日には、より一般的なマキシシングル規格で再リリースされています。これにより、初期からのファンはもちろん、後追いするリスナーも楽曲を入手しやすくなりました。

本作を含む旧譜シングルは、2005年9月21日にベストアルバムが2枚同時発売されたことを機に、生産が終了となりました。A面曲を中心に集めた『BLUE PERIOD』、そしてカップリング曲などを収録した『OUT OF THE BLUE』の登場により、主要な楽曲はこれらのベストアルバムで聴くことができるようになったためです。現在は、主にこれらのベストアルバムやオリジナルアルバム、そしてデジタル配信サービスなどを通して、このデビューシングルに収められた楽曲を楽しむことができます。

収録曲

月明かりに照らされて（4:40）
作詞・作曲: 山崎将義 、編曲: 山崎将義・中村キタロー
タイアップ: セゾンカード インターナショナル TV-CFソング、テレビ朝日系『サンデージャングル』オープニング・テーマ
Rough Rock'n Roll Boogie （4:13）
作詞・作曲・編曲: 山崎将義
mud skiffle track I （1:18）
作曲・編曲: 山崎将義

主な収録作品

月明かりに照らされて
『アレルギーの特効薬』（Single Version）
『BLUE PERIOD』（Single Version）
『ONE KNIGHT STANDS』（Live Version）
『Transit Time』（Live Version #2）
『HOBO Walking』（Live Version #3）
Rough Rock'n Roll Boogie
『OUT OF THE BLUE』
mud skiffle track I
* 『OUT OF THE BLUE』

このデビューシングルは、その後の山崎まさよしの豊かな音楽活動の確かな礎を築いた、重要な作品として位置づけられています。

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