有村直吉

有村 直吉（ありむら なおきち）

明治期に活躍した大相撲力士。明治4年（1871年）1月25日、現在の茨城県桜川市にあたる地域に生まれた。本名は小池 直吉といった。角界では入間川部屋に所属。身長は165cm、体重109kgと、当時の力士としては標準的な体格であった。得意手は突き押し。最高位は幕内東前頭3枚目。

経歴

明治27年（1894年）5月場所にて、小池川の四股名で番付外から初めて土俵に上がった。その後、約9年間を前相撲、序ノ口、序二段、三段目、幕下といった下位の番付で過ごす。明治36年（1903年）1月場所にて十両へ昇進。この機に四股名を小池川から有村直吉へと改めた。この新しい四股名は、幕末の志士として知られる有村次左衛門にあやかったものとも言われているが、両者の具体的な関係性は明らかになっていない。

十両での活躍を経て、明治38年（1905年）5月場所で新入幕を果たす。以降、幕内の地位で8場所務めた。幕内での通算成績は、16勝41敗、その他休場16日、引き分け6、預かり6という記録が残っている。勝率は.281であった。

明治42年（1909年）12月、師匠である10代入間川清藏が角界を引退したことに伴い、有村は現役力士のまま、年寄名跡である11代入間川を襲名し、部屋を継承することとなった。これにより、力士と年寄を兼ねる二枚鑑札として活動した。しかし、翌明治43年（1910年）6月場所を最後に、約16年にわたる力士生活に終止符を打ち、現役を引退した。

最期

現役引退後、年寄として後進の指導にあたる立場となったが、有村は以前から脳の病と心臓病という二つの持病を抱えていた。医師からは禁酒を強く勧められており、本人も酒を断っていたという。しかし、明治44年（1911年）に再婚した際の祝いの宴席において、喜びのあまりつい酒を口にしてしまった。これが持病を悪化させた一因となり、そのわずか後に容体が急変。明治44年（1911年）5月7日、40歳という若さで急逝した。

改名歴

土俵生活において、いくつかの四股名を名乗った。

小池川（こいけがわ）：明治27年5月場所 - 明治35年5月場所
有村 直吉（ありむら なおきち）：明治36年1月場所 - 明治43年1月場所
入間川 直吉（いるまがわ なおきち）：明治43年6月場所

主な成績

最高位：東前頭3枚目
幕内在位場所数：8場所
幕内通算成績：16勝41敗16休6分6預（勝率.281）

参考文献

* 水野尚文, 京須利敏『大相撲力士名鑑平成13年版』共同通信社, 2000年

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