有田二郎

有田二郎について

有田 二郎（ありた じろう）は、1904年7月1日に生まれ、1980年10月28日に76歳で亡くなった昭和期の著名な政治家および実業家です。彼は衆議院議員を5期務め、名村汽船の取締役としても知られています。親の影響を受けて成長し、波乱に富んだ人生を歩んできた有田の経歴を振り返ります。

経歴の概要

有田は、性病薬の製造を手掛ける有田ドラッグを経営し、言論活動でも名を馳せた有田音松の息子です。東京帝国大学の倫理科を卒業した後、大阪薬学専門学校で講師を務め、戦後は大阪の終戦連絡事務局に参与しました。1946年の総選挙では、日本自由党公認で衆議院に登場し、大阪府第1区で初当選を果たしました。その後、民主自由党、自由党に所属し、衆議院で5回当選したのです。

彼は衆議院で運輸・人事委員長などの重要な役職を担い、第3次吉田内閣では商工政務次官および通産政務次官としても活躍しました。1953年の国会予算審議において、社会党右派の堤ツルヨからの野次に対して「あんたはパン助だ」と応じたことが女性蔑視発言として問題になるなど、政治家としてのキャリアにおいても波乱がありました。

逮捕とその後

しかし、1954年に発覚した造船疑獄によって彼は国会法第33条に基づく逮捕許諾請求を受け、同年2月に逮捕されました。裁判では懲役2年、執行猶予3年の有罪判決が下り、これが後の選挙に大きく影響を及ぼしました。1955年の総選挙での落選以降、彼の政界復帰は叶わず、次の1958年、1960年の総選挙でも敗北を続けました。

その後は政界から距離を置いていましたが、1977年に参院選に立候補し私学振興を訴えました。しかし、得票数は33,702票に留まり、再度の落選を経験しました。政治的な活動が影を落とす中でも、1978年11月の秋の叙勲で勲三等に叙され、旭日中綬章を受章する栄誉を得ました。

家族と家系

有田の父である有田音松は、広島県三原町で生まれた売薬業の経営者でありました。音松は「有田ドラッグ商会」を立ち上げ、売薬業界での成功を収めたことで大阪府の納税者としても名を馳せました。彼は敬神崇祖皇室中心主義を掲げ、自著や寄贈活動を通じて国士ぶりを発揮しました。音松の販売手法は当時としては革新的であり、広告宣伝も派手であったため、売上を大いに伸ばすことに成功しました。

しかし、彼の事業には多くの批判と暴露も伴い、特に専門知識のない共同経営者による捏造記事がブランドに影を落としました。音松自身はその後も様々な社会活動を通じて影響力を持ち続けましたが、家庭内の利害対立も織り交ぜ、家族や家系の複雑さを浮き彫りにしました。

有田の遺産

有田二郎の人生は波乱や苦難に満ちていますが、彼自身の政治的な影響力とその家族の歴史は、昭和時代の日本における重要な一側面を成しています。1980年に亡くなった際には従四位に叙され、今日に至るまでその名は記憶の中に残っています。

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