有馬大五郎

有馬大五郎 (ありま だいごろう)

有馬 大五郎（1900年9月12日 - 1980年10月3日）は、日本の音楽教育家、音楽学者、そして声楽家です。彼はNHK交響楽団の副理事長、国立音楽大学の学長など、日本の音楽界において重要な役職を歴任しました。

生い立ちと音楽への目覚め

有馬大五郎は、兵庫県神戸市で、江戸時代から続く裕福な米穀肥料卸売商「有馬商店」の当主の家に生まれました。幼少期から音楽に親しみ、入江尋常小学校在学中には、東京音楽学校出身の音楽教師の影響で音楽への情熱を深めました。その後、兵庫県立第一中学校、兵庫県立第二中学校を経て、北海道帝国大学予科に進学しますが、1年で中退。慶應義塾大学文学部予科に転じ、慶應義塾ワグネル・ソサィエティーに所属しました。

音楽の道へ

東京音楽学校への入学を志しますが、2度にわたる受験に失敗。その後、慶應義塾大学を中退し、兵役を経て、1925年に歌手を目指して渡欧します。ウィーン国立音楽院で声楽を学びますが、肺結核により声楽家としての道を断念。その後、作曲科に転じました。ウィーン留学中には、ヘルベルト・フォン・カラヤンと親交を深め、また山下奉文や尾高尚忠とも交流がありました。

帰国後の活動

ウィーン国立音楽院作曲課程を修了後、ウィーン大学哲学部音楽科で博士号を取得し、1934年に帰国。留学中に父から受けた多額の送金は、現在の貨幣価値で3億円から5億円にも相当すると言われています。帰国後、リサイタルを開催しますが、「大きな図体をして蚊の鳴くような声」と酷評され、歌手としてのキャリアを諦めざるを得ませんでした。その後は、海外からの演奏家の通訳を務めながら音楽評論を執筆し、1936年からは東京高等音楽学院（現在の国立音楽大学）で教鞭を執りました。

NHK交響楽団との関わり

1940年からは新交響楽団（現在のNHK交響楽団）の運営に携わり、1942年には理事兼初代事務長に就任。留学中の1928年には、当時のヨーロッパにおける反ユダヤ主義の影響を受けたとされる発言もありましたが、1942年にヨーゼフ・ローゼンシュトックがユダヤ人であることを理由に敵性人種として新響の定期演奏会から排除された際には、ローゼンシュトックの演奏活動を擁護しました。

国立音楽大学での活動

1948年には国立音楽学校（現在の国立音楽大学）の理事長となり、その後、国立音楽大学の学長を務めました。

家族

妻は洋画家の和田三造の娘です。

音楽教育への貢献

有馬大五郎は、日本の音楽教育の発展に大きく貢献しました。彼の指導を受けた多くの音楽家が、日本の音楽界で活躍しています。

参考文献

岩城宏之『チンドン屋の大将になりたかった男－N響事務長 有馬大五郎』（日本放送出版協会、2000年）
服部正『広場で楽隊を鳴らそう』平凡社、1958年

関連事項

青年日本交響楽団 - 服部正との縁で支援した。

外部リンク

楽友会初代会長・有馬大五郎先生の略年譜

もう一度検索