有馬川

有馬川（ありまがわ）

有馬川は、島原半島の南部を流れる二級河川で、最終的には有明海へと注ぎ込む河川です。この川は、長崎県南島原市に広がる流域を持ち、源流の一部は雲仙市に位置しています。島原半島の中では、千々石川に次ぐ大きさを誇る川であり、特に北側から多くの支流が合流しています。これにより、流域は主に田畑として利用され、農業集落やため池が各所に点在しています。

流域の特徴

有馬川の本流は、雲仙市と南島原市の境界にある彦山（標高380m）が水源となっています。上流部は、南島原地域の広大な台地にわたって深い谷を刻んでいるのが特徴です。初めは森林に囲まれた源流部ですが、程なくして路木、柳谷、梅谷などの集落が顔を出し、そこからは谷沿いに広がる段々畑や棚田が見られます。

川は北有馬と南有馬の境界を形成し、周囲の多くの支流を合流させながら東へ流れます。北側から流れ込む支流には、路木川、第二路木川、小谷川、坂山川、坂下川、西正寺川、下川、高江川、浦口川があり、これらは雲仙岳の南斜面に谷を刻み、「七谷七峰」と称される独特の地形を形作っています。この地域には多くの石橋も点在しており、地域の文化と歴史を物語っています。また、南側からはドン川、荒尾川、恵通谷川が合流しています。

今に当たる下流域では、干拓地や河口干潟が広がっており、川はここを通って有明海へと流れ出て行きます。特に、下流の左岸（北側）には北有馬の中心部の街並みが見られるなど、地域の生活にも密接に関わっています。

歴史的背景

有馬川の周辺には、歴史的な遺跡がいくつか存在します。坂下川の上流域には、縄文時代末期に築かれた原山支石墓群があり、本流の下流域では弥生時代の今福遺跡や北岡金比羅遺跡が発掘されています。また、川の左岸には日野江城址、右岸の海側には原城址があり、これらはともに有馬氏によって築城された16世紀頃のものです。当時は、有馬川の流域はデルタ地帯であり、二つの城をつなぐ通路や石橋が存在していました。その後、デルタ地帯は干拓され、北岡新地や三原新地といった水田地帯が形成されることになります。

1971年から1972年にかけて、治水工事が行われ、下流部には可動堰が設けられました。この工事により、地域の水管理が向上し、干ばつや洪水対策の一環として機能しています。

交通の便

有馬川の流域には、いくつかの主要道路が通っており、これが地域の発展を支えています。国道251号は有馬橋を通り、河口に至る重要な交通路です。また、国道389号は上流の分水界に沿っています。さらに、長崎県道30号小浜北有馬線や207号、209号といった県道も地域を結ぶ重要な道路として機能しています。これらの道路網は、農作物の流通や観光客の誘致などに大きく寄与しています。

有馬川は、地域の自然、文化、歴史を融合させた魅力あふれる場所であり、訪れる人々にとっても多くの発見があることでしょう。

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