望月裕二郎

望月 裕二郎（もちづき ゆうじろう）氏は、1986年に東京都に生まれた日本の歌人です。

経歴

望月氏の文学活動の始まりは、立教大学文学部に在籍していた頃に遡ります。大学1年生の時、阿部嘉昭氏が担当する演習に参加したことが大きな転機となりました。この演習にゲストとして招かれていた歌人の盛田志保子氏との出会いを通じて、短歌という表現形式に強い関心を持ち、自らも歌を詠むことを始めました。

学生時代は、短歌の創作と研鑽の場として、2007年から2010年まで早稲田短歌会に所属し、積極的に活動を展開しました。学生歌会は、同世代の歌人たちと共に学び、互いの作品について批評し合うことで、表現力を磨く上で重要な役割を果たします。

また、望月氏は同人活動にも参加しています。2009年には同人誌「町」の創刊メンバーの一人として名を連ねました。同人誌は、特定のグループが自主的に発行する文芸誌であり、商業誌とは異なる自由な雰囲気の中で作品を発表し、読者や同人との交流を深める貴重な機会となります。「町」は2011年に解散するまで、短歌を志す人々が集まる場となりました。

大学卒業を控えた2009年には、その集大成として自身の歌を集めた歌集『ひらく』を卒業制作として制作しました。これは、後に商業出版される歌集の萌芽となる作品でした。

そして、学生時代からの活動を経て、2013年には待望の第一歌集『あそこ』を書肆侃侃房より刊行しました。この歌集は、同社の「新鋭短歌シリーズ」の一冊として世に送り出され、若い世代の歌人による注目すべき作品として、歌壇内外から広く関心を集めました。第一歌集の刊行は、歌人としての本格的なキャリアの確立を示す出来事と言えます。

望月氏の作品は、現代短歌の潮流を紹介する代表的なアンソロジーにも度々収録されています。2015年には、1970年以降に生まれた歌人を紹介する山田航氏編纂のアンソロジー『桜前線開架宣言：Born after 1970 現代短歌日本代表』に作品が収められました。さらに2018年には、東直子氏、佐藤弓生氏、千葉聡氏が共同で編纂した『短歌タイムカプセル』にも選ばれており、現代歌壇におけるその存在感を示しています。

これらの活動を通じて、望月裕二郎氏は現代短歌における新鋭歌人として確固たる地位を築きつつあり、今後の活躍が期待されています。

主な著作

単著

• - 『あそこ』書肆侃侃房〈新鋭短歌シリーズ〉、2013年11月30日刊行。

アンソロジー（収録）

• - 山田航編『桜前線開架宣言：Born after 1970 現代短歌日本代表』左右社、2015年12月25日刊行。
• - 東直子・佐藤弓生・千葉聡編『短歌タイムカプセル』書肆侃侃房、2018年1月31日刊行。

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