朝原内親王

朝原内親王の生涯と役割

朝原内親王（あさはらないしんのう）は、桓武天皇の第一皇女として生を受けました。母である酒人内親王は桓武天皇の妃であり、彼女は母系において3代続く伊勢斎王の一人でもあります。彼女の人生は、早くから伊勢斎王に卜定されることから始まりました。

斎王としての任命

生年は天応2年（782年）で、彼女は4歳の時に斎王として任命されます。この任命に際しては、延暦4年（785年）に造斎宮長官や斎宮寮頭による公式な任命が行われた後、旧都の平城京で発遣の儀が執行されました。この儀式には、天皇や多くの官人たちが見送りに訪れるという異例の光景が広がりました。

9月7日には、賀茂人麻呂や女官たちと共に伊勢に向かい、15日には斎宮に到着します。これらの出来事は、彼女がいかに特別な存在であったかを示しています。

退下と帰京

しかし、彼女の斎王としての役割も長くは続きませんでした。延暦15年（796年）には斎王の解任を目的とした奉幣使が立てられ、内親王は18歳で伊勢を退下することとなります。この帰京の際、桓武天皇の娘たちの中で最初に三品に叙せられる栄誉を受けています。

その後、異母兄の安殿親王（のちの平城天皇）との結婚が待っており、彼女は平城天皇の妃となります。延暦17年（798年）には越後国の土地250町を授けられるなど、皇族としての権威が強まりました。

妃としての活動

その後、桓武天皇が大同元年（806年）に崩御し、平城天皇が即位すると、内親王はその妃として重要な役割を果たすことになります。やがて平城天皇は弟である嵯峨天皇に譲位し、内親王はそれに伴い皇族としての地位において変化を迎えます。

弘仁3年（812年）には、異母姉妹の大宅内親王と共に妃の位を辞し、皇族としての生活から身を引く決断を下します。

晩年と遺言

内親王は弘仁8年（817年）に病にかかり、嵯峨天皇が送った僧たちによる祈祷が行われましたが、39歳で薨去してしまいます。彼女の遺言は、春に父・桓武天皇のために大般若経を、秋に母・酒人内親王のために金剛般若経を唱えさせるという内容でした。

これに従い、翌年には母からの奉納により、東大寺には経典やいくつかの郷地が施入され、この行為は彼女の面影を今に伝えています。

朝原内親王の生涯は、桓武天皇のもとでの皇女としての役割、斎王としての役目、さらには平城天皇の妃としての生き様を通じて、日本の歴史に深い足跡を残しました。

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