朝山意林庵

朝山意林庵（あさやま いりんあん）は、天正17年（1589年）に生まれ、寛文4年（1664年）に没した江戸時代前期の儒学者です。

生涯

意林庵は、山城国京都（現在の京都府）で、九条家諸大夫である朝山久綱の子として生まれました。幼名は藤丸と名付けられました。

8歳で出家し、三井寺や東福寺などで修行を重ねました。随心院門跡とも関係があったと考えられています。慶長15年（1610年）には豊前国へ下り、小倉藩主の細川忠利に仕えました。その後帰京し、中御霊に居を構えます。慶長16年（1611年）には、朝鮮から来日した儒学者、李文長の学統を継承しました。

寛永5年（1630年）には祇園林に住居を移し、寛永7年（1632年）にはさらに転居しました。『閑散余録』によれば、九条家に仕えた後、致仕し、安井の北隣にある曼珠庵に隠居したとされています。寛永7年（1632年）には駿河国へ下り、駿府藩主の徳川忠長に仕えましたが、意見が受け入れられなかったため、翌年、母の病を理由に帰京しました。寛永11年（1634年）からは、熊本藩に移っていた細川忠利、細川光尚から500石の賄料を受け取りました。後に長講堂の長老となっています。

二条康道の推挙により、承応2年（1653年）には後光明天皇に『中庸』を進講しました。その後、5代前の祖先である朝山利綱が白川伯王家の白川富秀の次男であったことを根拠に、北白川三位入道を名乗り、本姓を源氏に改めました。従五位下相当の右馬頭入道を名乗る短冊が伝わっており、その後三位に昇ったとも考えられますが、これらの位階が正式なものであったかどうかは不明です。『中庸』の講義は3月7日に終わり、4月22日からは『周易』を進講しましたが、6月23日の内裏火災により中断し、翌年2月に再開されました。

承応3年（1654年）に後光明天皇が崩御された後は隠居し、加賀藩からの出仕の誘いも断りましたが、大垣藩主などが教えを請いに訪れました。寛文4年（1664年）9月21日に病没。辞世は「万巻胸中無一物。六経心裏有衆人。秋風吹散遊魂変。変動寂然清月新。」墓所は長講堂にあります。

正徳3年（1714年）の五十回忌には、子孫の忠常により墓碑が建てられ、また正海和尚の要請で西向きに改葬されました。大正8年（1919年）には、正五位が追贈されました。

家族

祖父：朝山日乗
父：朝山久綱 - 従五位下宮内少輔。元和7年（1621年）7月死去。
母：秦氏
兄：朝山幸綱 - 従五位下宮内少輔。
姉：阿波局 - 後水尾天皇宮に仕える。
弟：朝山吉信 - 幸綱出家後、家督を継ぐ
弟：朝山景吉 - 斎助。細川忠利、光尚に仕える。
子：朝山忠常 - 幼名久丸。細川綱利に仕え、後に出家する。中務卿法眼心乗。寛保2年（1742年）90歳で死去。

意林庵は、その学識と人柄から、多くの人々に敬愛された儒学者でした。

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