朝日嶽鶴之助

朝日嶽 鶴之助

朝日嶽 鶴之助（あさひだけ つるのすけ、1840年または1838年 - 1882年4月4日）は、山形県鶴岡市出身の著名な力士です。彼の本名は本間であり、その後佐藤 庄蔵とも呼ばれました。最高位は大関に昇進し、現役時代は180cm、113kgという体型を持っていました。

来歴

越後国の農家に生まれた朝日嶽は、早くから漁師の家に奉公に出ました。その後、庄内藩の船人足として働いている際に、藩主の目に留まり、地元の力士、立田川（元関脇常山五良治）に入門を果たします。彼の初土俵は万延元年（1860年）10月で、最初の四股名は「由良ノ海庄蔵」でしたが、文久2年（1862年）に朝日嶽に改名しました。この四股名は、故郷にある大朝日岳に由来したものです。

幕下の期間中の慶応3年（1867年）11月場所では、大関不知火を破り、8勝1分という好成績を収め、翌年には入幕を果たします。明治7年（1874年）からは関脇に位置し、明治10年（1877年）にはついに大関に昇進しました。2場所務めた後、明治11年（1878年）の6月場所を最後に引退しました。

忠義心のエピソード

朝日嶽の名声が高まった背景には、明治維新という激動の時代における彼の忠義心が影響していると言えるでしょう。当時、彼が重んじていた庄内藩酒井家は、長い歴史を持つ家柄であり、朝日嶽はその主君のために戦おうとする姿勢を示しました。鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が敗北した際、朝日嶽は藩主のもとへ向かうために新入幕を休場しますが、江戸を出ることができずに困難に直面します。彼は荷揚げ業者の鈴木伊兵衛に自分の志を伝え、伊兵衛の手助けを得て幕府軍の艦船に乗り込むことに成功、無事に鶴ヶ岡城に到着しました。

この行動は多くの人々に感動を与え、朝日嶽は江戸に戻った際に喝采を浴びました。彼はその後も人気力士として知られ、「相撲じゃ陣幕、顔じゃ綾瀬、程のよいのが朝日嶽」という歌でも謳われました。この時代のファンにとって、朝日嶽は単なる力士ではなく、忠義を体現した象徴的存在だったのです。

外見と力士としての品格

美男としても知られる朝日嶽は、色白で均整が取れた体格を誇っていました。彼はその人気におごることなく、力士として品格を保ち続けました。明治11年、故郷・山形での巡業では、県令の三島通庸が五条家を通じて横綱免許を授与しましたが、吉田司家からの正式な認可は受けていなかったため、公式な横綱とは見なされていません。

引退後と晩年

引退後は年寄立田川を名乗りましたが、体が弱く、わずか4年後の明治15年にこの世を去りました。彼の生涯は、力士としての業績だけでなく、その忠義心や美男ぶりからも多くの人々に深く印象を残しました。現在でも、朝日嶽の名前は相撲の歴史に刻まれています。

主な成績

朝日嶽は幕内に21場所在位し、通算成績は82勝40敗37分6預45休で、勝率は.672となっています。彼の成績は、相撲界での活躍を物語っています。力士としての華々しい経歴と共に、その忠義心と美しさは、彼を特別な存在にしています。

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