朝鮮人民軍特殊作戦軍

朝鮮人民軍特殊作戦軍：知られざる北朝鮮の精鋭部隊

朝鮮人民軍特殊作戦軍（KPASOF）は、北朝鮮人民軍に所属する特殊部隊です。その任務は、敵陣深く侵入し、後方攪乱や戦略目標の破壊、偵察活動を行うこととされています。推定兵力は約30万人。心理戦や韓国軍の脆弱性調査にも積極的で、朝鮮戦争終結後も国内外で活動が確認されています。

特殊作戦軍の任務

主な任務は、韓国の防衛線を突破し、敵後方に「第2戦線」を構築することです。後方攪乱や戦略的偵察を行い、敵の戦力を削ぎます。有事の際には、韓国国内の重要施設に対する攻撃も想定されています。

歴史

正式な編成日は不明ですが、1968年10月30日以降、特殊作戦を目的とした部隊の活動が報告されるようになりました。この日、北朝鮮の海上部隊が韓国の蔚珍に上陸し、戦闘後撤退。金日成は、特殊作戦軍を「朝鮮人民軍全体の最強の精鋭部隊」と評したと伝えられています。

兵器

特殊作戦軍は、多様な火器を装備しています。

88-2式小銃: AK-74のライセンス生産品で、ヘリカルマガジンを装着可能
98式小銃: 88-2式小銃の改良型で、バレルが短く、ストックの形状が変更されている
M16A1: デッドコピー品または第三国からの輸入品と推定
K2小銃: 韓国軍のK2小銃のコピー品
白頭山拳銃: CZ-75ピストルの北朝鮮版で、大型の弾倉底部と独自の木製グリップパネルが特徴
スターリングサブマシンガン: 韓国への潜入任務で使用
vz.61: 小型サブマシンガン
KN-11: OICW/K11複合型小銃に類似した小銃で、ブルパップ式の擲弾発射機を装着

構成部隊

特殊作戦軍は、以下の部隊で構成されています。

航空狙撃旅団

An-2輸送機を使用し、空中からの潜入を想定した部隊です。An-2は低速で飛行できるため、レーダーに捕捉されにくく、夜間や悪天候下での浸透に適しています。高速道路に着陸し、空挺部隊を地上に投入する訓練も行っています。

偵察旅団

地上諜報活動を担う部隊で、「狙撃旅団」とも呼ばれます。韓国国内の戦略目標の占拠や破壊を目的として訓練されており、過去には暗殺未遂に関与した疑いも持たれています。

軽歩兵旅団

水陸両用作戦能力を持つ部隊で、北シナ海などで活動が確認されています。主な任務は、敵後方地域への隠密侵入と攪乱、前方連絡線の寸断、核・化学施設などの戦略目標の破壊です。装備は軽装で、小火器や対戦車兵器を装備しています。

海上狙撃旅団

艦艇や潜水艦を利用し、海上からの浸透を専門とする部隊です。一度上陸すると、韓国の地形に潜伏し、有事の際に後方地域を攻撃することが想定されています。特殊潜航艇を使用し、少人数単位での浸透も可能です。

まとめ

朝鮮人民軍特殊作戦軍は、北朝鮮の軍事戦略において重要な役割を担う精鋭部隊です。その規模、装備、訓練内容などは、依然として謎に包まれていますが、韓国にとっては常に脅威となる存在です。彼らの動向は、朝鮮半島の安全保障に大きな影響を与えると言えるでしょう。

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