朝鮮南部連続少女誘拐事件

朝鮮南部連続少女誘拐事件

1932年から1939年にかけて、日本の支配下にあった朝鮮南部で発生した一連の少女誘拐事件が「朝鮮南部連続少女誘拐事件」と呼ばれています。この時期、特に慶尚道や全羅道の地域では、永久的な人身売買や少女誘拐が頻繁に行われており、これに関与したのは多くの朝鮮人斡旋業者でした。事件の発端は、1939年に発覚した河允明による誘拐事件であり、多くの報道がなされました。事件の背後には、当時の社会の構造や、売春業と人身売買の背景がありました。

背景

朝鮮には古くから妓生と言われる制度が存在し、性の商業化が進んでいました。1876年の開国以降、日本人の遊廓業者が朝鮮にも進出し、1881年には営業規則が整備され、公娼制が導入されました。1895年以降、再び芸妓雇用が認可され、さらには日露戦争を背景に日本の業者が増加しました。こうした中、朝鮮では女性の売春が日常化し、特に少女の誘拐が横行することになりました。

1930年代に入ると、日本の戦争の影響もあって、戦争景気が女性の誘拐事件を助長しました。特に、女性を満州へ強制的に連れて行く斡旋業者が現れ、10代の少女がターゲットとなる事例が増加しました。最初は捕まえた女性を料理店で働かせる口実で誘拐か、または「良家」への就職を装い、売春を強制させるケースが増えていきました。

事件の具体例

1932年3月には元巡査が関与した恐喝誘拐事件が発生し、さらに1933年には慶尚南道で少女を購入し、戸籍を偽造しようとした斡旋業者が逮捕されました。その後も次々と誘拐事件が明るみに出て、1934年には11歳の少女が業者に引き渡される事件が発覚しました。このような惨状が続く中、1936年には「人肉商」と呼ばれる業者による少女誘拐が報じられ、人身売買の実態が一層明るみに出ました。

1938年には、金福順という女性が主導するグループが、全国から少女を誘拐し売却していたことが報じられ、社会に衝撃を与えました。また、河允明による誘拐事件は、特に注目を集め、彼の逮捕により、長年続いた少女誘拐が公にされました。彼はお金目的で150人もの少女を誘拐し、売却していたとされています。

メディアの反応

事件は朝鮮語メディアによって頻繁に報じられ、社会問題として取り上げられました。特に東亜日報や朝鮮日報は、事件の詳細を特集し、悪質な業者の存在に批判的な姿勢を見せました。1939年に入ると、さらなる報道も加わり、社会的な関心が高まる中で朝鮮総督府の警察も動かざるを得なくなりました。

結論

朝鮮南部での連続少女誘拐事件は、当時の社会における女性の地位や人権の欠如を浮き彫りにしました。売春や人身売買は、ただの犯罪行為にとどまらず、当時の社会風俗に深く根ざしていました。事件の報道を通じて、これらの問題が広く社会に認識される契機となったことは確かです。この一連の事件は、歴史的な教訓として後世に引き継がれるべきだと言えるでしょう。

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