朝鮮博覧会

朝鮮博覧会の概要

朝鮮博覧会（略称：朝鮮博）は、1929年9月12日から10月31日までの期間、朝鮮総督府の主催によって京城府（現在のソウル特別市）の景福宮で開催されました。この博覧会は、韓国併合からの施政20周年を記念する行事として、当時の総督であった斎藤実のもとで実施されました。景福宮は李氏朝鮮時代の王居にあたる場所であり、その一部が撤去され公園に改造されましたが、現在では復元作業が進められています。

来場者数と博覧会の目的

博覧会の入場者は、個人約70万人、団体約40万人、無料招待客22万人、子供約12万人、軍人約5千人の総計約140万人に達し、非常に賑わったイベントとなりました。朝鮮総督府は朝鮮物産の振興や対外宣伝を目的としていましたが、博覧会の盛況によってその目的は達成されたと評価されています。

会場内の催し

博覧会の会期中は、会場内だけでなく京城府内のさまざまな場所で大会や集会が開催され、京城駅前には来場者を歓迎するための「歓迎門」が設けられました。

主な展示館

博覧会では、多くの展示館が設けられ、それぞれに特色がありました。以下に主要な陳列館を紹介します。

産業北館

約775坪の面積を持ち、主に工業製品が展示されていました。古代の生物遺跡も見ることができました。

産業南館

1,070坪にわたり、米を除く農産物、水産物、園芸、畜産、養蚕業、林業など多岐にわたる内容が展示されました。

社会経済館

225坪の規模で、青少年保護施設や職業紹介、貧困救済などの社会事業と金融組合、産業組合などが出展されました。

米の館

230坪において朝鮮米についての詳細が展示されました。

各道審勢館

520坪の展示スペースでは、朝鮮各道の主要産物が実物や模型、写真で紹介され、特に費用がかけられました。

教育美術工芸館

525坪で、朝鮮の歴史的な美術工芸品が広く展示され、その他にも気象観測や考古学的な展示が行われました。

交通土木館

550坪の館では、交通や土木、通信分野の20年間の進歩が紹介されました。

司法警務衛生館

323坪では、大韓帝国時代と日本時代の裁判の様子が人形によってパノラマ形式で展示されました。

その他の特別館

このほかにも、機械電気館、鉄道省館、海軍館、満蒙館、台湾館、水産館など、多様なテーマの館が設けられました。特に、海軍館では軍艦の模型や要港の施設が展示され、陸軍館では戦争の道具や実物の戦車が展示されたことが注目されました。

歴史的な背景と沿革

1921年9月15日、産業調査会において博覧会の開催が決定され、1929年9月12日には勤政殿で開場式が行われました。続いて、同年10月1日には開会式が斎藤実総督の挨拶のもとに行われました。

朝鮮博覧会は、当時の社会や産業の様相を知るうえで重要なイベントであり、さまざまな分野の展示や交流を通じて朝鮮半島の文化や産業の発展に寄与しました。

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