朝鮮史 (歴史書)

『朝鮮史』について

『朝鮮史』は、朝鮮総督府によって編纂された全37巻からなる歴史書で、古代から1894年までの朝鮮半島の歴史を記録しています。この著作は、日韓併合後の日本の朝鮮半島に対する植民地支配の正当性を示すために作られました。編纂の計画は、日韓併合直後から始まり、1922年に設置された朝鮮史編纂委員会によって実際の作業が進められました。そのプロセスでは、日本の歴史学者だけでなく、朝鮮の知識人や文化人も参加しました。

編纂は1932年から始まり、1938年までに本編が完了。さらに、1940年には索引が完成しました。資料は朝鮮半島全域や日本、満州からの4,950点に及び、重要なものを選定して構築されました。最終的には、巻首1巻、35巻の本編、1巻の索引からなる37巻が刊行されました。

目次構成

『朝鮮史』は6つの編に分かれ、それぞれが時代順に編纂されています。

• - 第1編: 三国時代以前の歴史
• - 第2編: 新羅の文武王から高麗の初代王まで
• - 第3編: 高麗の歴代王の治世
• - 第4編: 李氏朝鮮の初期から中期
• - 第5編: 李氏朝鮮の後期
• - 第6編: 李氏朝鮮の最後の王まで

評価と影響

『朝鮮史』は、植民地支配という特殊な状況下での実証主義的歴史書として評価される一方で、韓国では「植民支配」の象徴とも見なされています。1894年以降の歴史が編纂されなかったのは、当時の日本による統治に支障をきたすためとされています。また、一部の編纂に関与した朝鮮の知識人は、戦後に親日派として非難されることもありました。

特に、朝鮮総督府が取得した「対馬宗家文書」などの重要な資料が現在も韓国側に保管され、文献の返還問題が日韓間の争点となっています。このように、過去の歴史書の編纂は、ただの学術研究にとどまらず、国際関係にも影響を与えているのです。

近代デジタルライブラリーへのアクセス

国立国会図書館の近代デジタルライブラリーでは、『朝鮮史』の全巻が閲覧可能となっています。研究者や一般の読者にとって、非常に重要な資料となっています。これらの出版物は、韓国学を含む多くの学問や、日韓の歴史を理解するうえで貴重な情報源となっています。

現代の視点

韓国の研究者によると、『朝鮮史』に含まれる歴史観には日本の影響が色濃く反映されており、古代韓国文化や歴史が否定される部分もあります。日本植民地時代の「皇国史観」に基づく内容と批判されることもあり、歴史観を巡る議論は今なお続いています。これにより、歴史的な文献や解釈がどのように形成されたのか、そしてその影響が続いているかを理解するための手掛かりとなるのです。

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