朝鮮教育令

朝鮮教育令の概要

朝鮮教育令（ちょうせんきょういくれい、旧字体：朝鮮敎育令）は、日本の統治時代における朝鮮の教育システムを規定した勅令です。この法律は、朝鮮総督府が教育を実施・監督する際の特殊な環境に対応するために制定されました。朝鮮教育令は主に三つの段階で改訂され、各段階ごとに教育の内容や対象が変更されました。

第一次朝鮮教育令

第一次朝鮮教育令は1911年8月24日に公布されました。この令は、日本政府が朝鮮を併合した翌年に出されたものであり、施行は同年11月1日からとなりました。教育は「普通教育」「実業教育」「専門教育」の三つに分類され、それぞれの教育機関および内容が詳細に規定されました。

普通教育

普通教育は、日本国民としての性格を涵養し、国語である日本語を広めることを目的としています。普通学校、高等普通学校、女子高等普通学校が設置され、修業年限や入学資格も明確に設定されていました。普通学校は4年制で、入学資格は8歳以上。高等普通学校は、普通学校を卒業した12歳以上の男子が対象で、師範科や教員速成科も設けられました。女子高等普通学校は、女子を対象とし、3年間の修業期間があります。

実業教育

実業教育は、農業や商業、工業などの実用的な知識や技術を教えることが目的の教育です。これに対応する実業学校が設立され、農業学校、商業学校、工業学校、簡易実業学校に分かれていました。入学資格は普通学校の卒業者である12歳以上の者とされました。

専門教育

専門教育は、高度な学術や技芸を学ぶことを目指しています。専門学校が設立され、修業年限は3年または4年、入学資格は高等普通学校の卒業者とされました。

第二次朝鮮教育令

第二次朝鮮教育令は1922年に公布され、第一次の令を廃止して新たに教育体系を整備しました。この令では、朝鮮人だけでなく内地人も教育の対象とし、国語の使用を通じた教育の分化が進められました。修業年限や入学資格も大幅に見直され、小学校令や中学校令に基づいた新しい学制が設けられました。

普通学校や高等普通学校の修業年限は6年に延長され、女子高等普通学校の修業年限も5年または4年とされ、各種補習科も設置可能になりました。また、大学教育や師範教育の新たな規定も導入されるなど、教育の制度が拡充されました。

第三次朝鮮教育令

第三次朝鮮教育令は1938年に公布され、教育制度が再度大きく変更されました。この令では、普通教育は小学校、いわゆる国民学校のみで行われることに改められ、普通学校や高等普通学校の存在はなくなりました。教育内容に関しても、日本語の使用がますます強調され、朝鮮語の授業は実質的に廃止される流れとなりました。

改正とその影響

この中でも特に1941年と1943年の改正では、新たに国民学校令や中等学校令が施行され、朝鮮における教育体制はさらに日本の意向に近づいていきました。朝鮮教育令は、実効性を失っていく中で統治政策の一環として位置づけられ、教育内容は日本化が進んでいきました。

結論

朝鮮教育令は、朝鮮の教育を戦略的に支配する手段として用いられた歴史を持ち、各段階の改正は、当時の日本政府の意向や外交政策を反映したものです。これにより、朝鮮の教育体系は大きく変貌を遂げ、多くの市民に影響を及ぼしました。

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